2021年の小売販売指数、医療品、香水、化粧品は過去最高水準に
(ブラジル)
サンパウロ発
2022年03月17日
ブラジル地理統計院(IBGE)は2月9日、2021年の小売販売指数(2014年=100)を発表した。総合で前年比1.4%増加した。自動車・同部品と建設資材を含めた拡大小売販売指数は総合で前年比4.5%増加した(注1、添付資料表参照)。
項目別に見ると、プラス幅が大きかったのは自動車・同部品(14.9%)、衣料品・靴(13.8%)、その他個人・家庭用品(12.7%)、医薬品、化粧品、香水(9.8%)だった。自動車・同部品について、2月10日付の「CNNブラジル」によると、ブラジルを代表するシンクタンクであるジェトゥリオ・バルガス財団(FGV)のエコノミスト、ウリセス・レイス氏は自動車・同部品が回復した要因として、2020年の新型コロナウイルス感染拡大や原材料不足の影響を受けた同産業が2021年に徐々に生産を再開したことと、中古車需要が増していることの2点を挙げている。なお、自動車・同部品の指数は91.23。新型コロナウイルス感染拡大前に当たる2019年の91.93には及ばないものの、2020年の79.41から回復した。
医療品、香水、化粧品は指数でみると、これまで2018年の109.43がピークだったが、2021年は138.99と2014年以降で最高水準となった。ブラジル薬局・ドラッグストアチェーン協会(Abrafarma)は2月4日付公式サイトで、医療関連製品の売り上げ増の要因として、「新型コロナ禍」での国民の健康や免疫向上への関心の高まり(注2)、Eコマース事業の成長、薬局で新型コロナの抗原検査などを実施する動きが広がったことなどを挙げている。
新聞、雑誌、文房具(16.9%減)と家具・家電製品(7.0%減)はマイナス幅が大きかった。IBGEは2月9日付け公式サイトで、新聞、雑誌、文房具の減少要因の1つとしてデジタル化が進んだことを指摘している。指数で見ると、ピークは2013年で108.35(注3)。以降は減少し続け、2021年には28.12までになった。また、同日付の公式サイトでクリスチアノ・サントス調査部長は家具・家電製品について、「新型コロナウイルス感染拡大に伴う購入の前倒しで売り上げが急増したが、その後、現地通貨レアルの対ドルレート下落や所得の伸び悩みによる購買力の低下で売り上げも低下した」と、短期的な需要増だったと分析した。
(注1)IBGEでは、全国6,157の小売事業者に毎月アンケート調査を実施し、小売販売指数を発表している。指数には、自動車・同部品、建築資材の2項目を含む拡大小売販売指数と、自動車・同部品、建築資材を含まない小売販売指数の2つある。本稿は、拡大小売販売指数に基づいて作成。指数の基準年は2014年(指数100)。2021年は97.48。2018年は91.13、2019年は94.66、2020年は93.3。
(注2)具体的な商品として、ビタミン剤や頭痛薬などの市販薬の売り上げが増加したことを挙げている。
(注3)指数の基準年は2014年。
(古木勇生、エルナニ・オダ)
(ブラジル)
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