IEA、ブラック ジャック ディーラー ルール
(米国、ロシア、ウクライナ、英国、世界)
シカゴ発
2022年03月23日
国際エネルギー機関(IEA)は3月16日、ロシアによるウクライナ侵攻後で初となる月次石油市場レポートを発表し、石油市場は過去数十年間で最大のエネルギー供給危機に瀕するかどうかの岐路に立っているとの認識を示した。ロシアは世界最大の石油輸出国で、原油と石油製品を合わせ、日量800万バレル程度を輸出している(注1)。同レポートでは、4月以降、ロシアからの石油供給量が日量300万バレル程度減少する可能性があると分析している。
現在、ロシアにはさまざまな経済制裁が科されているが、米国や英国を除く大部分の国においては、ロシアからの原油輸入は直接的な制裁の対象から除外されている。しかし、大手石油企業や商社などは、ロシア産原油の調達を敬遠せざるを得ない状況にあり、原油の引き取り手が限られてきている。ロシア産石油の大半を輸入してきた欧州の石油精製業界は、代替原油の調達に迫られている。一方で、石油輸出国機構(OPEC)加盟国にロシアなどの協調国を加えたOPECプラスは、3月2日に開いた閣僚級会合で、原油需給の基礎的条件は大きく変わっていないとして、従来の緩やかな増産方針(注2)を変更しないことを決定している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた石油需要は順調に回復してきており、ロシアによるウクライナ侵攻前から、石油在庫は急速に減少していた。OECD諸国の2022年1月の民間在庫は、2017年から2021年までの平均在庫量を約3億3,500万バレル下回っており、8年ぶりの低水準だ。暫定的なデータを基に、IEAは2022年2月の時点で石油在庫はさらに約3,000万バレル減少していたと推定している。
IEAは、このような状況下で原油供給量の減少が起きれば、石油価格の高騰が持続し、インフレと経済成長に顕著な影響を与えるだろうと指摘している。IEAは、経済成長の見込みを下方修正し、2022年の世界の石油需要が、従来予測より日量130万バレル低い、日量9,970万バレルになると見込んでいる。
(注1)日本の2021年の原油消費量(日量約250万バレル)の3倍以上に相当する輸出量。
(注2)OPECプラスは2021年7月に、同年8月以降、原油の協調減産量を毎月日量40万バレルずつ緩和していくことを決定している。
(上村真)
(米国、ロシア、ウクライナ、英国、世界)
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