チリのボリッチ新大統領がTPP11の議論再開時期に言及

(チリ)

サンティアゴ発

2022年03月22日

チリのガブリエル・ボリッチ新大統領は、承認法案が上院で審議中となっている、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)に関して、新憲法の制定プロセスが終了した後に何らかの決断を下す予定だと発言した(「ディアリオ・フィナンシエロ」電子版3月14日)。同紙によれば、ボリッチ大統領は外国の報道関係者らとの間で行われた会談の中で、「わが国におけるTPP11についての議論は、その内容がアップデートされた状態で再開されるべきだろう。なぜなら、われわれはTPP11の批准によって影響が生じ得る多くのテーマについて、その正当性を疑問視する立場を取ってきたが、それらのテーマを取り巻く環境は今日までさまざまな変化を経ているからだ」とコメントした。さらに、「チリでは新憲法制定に係るプロセスが進行中で、それが終了するのを待ってから、アジア大洋州および米州の太平洋側諸国との貿易協定に関する議論が再開されるだろう」と言及した。

TPP11承認法案は2018年10月、2代前のミチェル・バチェレ政権時に国会に提出された。その後の2019年4月、セバスティアン・ピニェラ前大統領の任期中に下院で可決されたのち、上院での議論が開始された。しかし、同年10月に大規模な反政府デモが起きたことで、同法案は上院内の最優先取り組み事項から除外された。2020年以降は「新型コロナ禍」での混乱も相まって、いまだに審議再開のめどが立っていない。

新憲法案の起草を担う制憲議会は2021年7月4日に発足しており、どんなに遅くとも2022年7月ごろにはその草案が完成し、約60日後に同草案の承認の是非を問う国民投票が実施される予定だ。この現状のスケジュールに鑑みて、今回のボリッチ大統領の発言内容を踏まえると、2022年内にはTPP11の批准に関する議論がチリで再開されることとなる。

(岡戸美澪)

(チリ)

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