エチオピアで国家非常事態宣言を解除、正常化へ前進

(エチオピア、アフリカ)

アディスアベバ発

2022年02月17日

エチオピア人民代表議会(下院)は2月15日、国家非常事態宣言の解除を可決した。同宣言は、エチオピア政府が2021年11月2日に発令したもので、紛争被害から一般市民を守る予防的措置として出していた。エチオピア北部のティグライ州に端を発する紛争は、戦線が一時南下し、首都アディスアベバ市に最も戦線が近づいた時には200キロ圏内まで迫っていた。国家非常事態宣言発令時の有効期限は6カ月だったが、閣僚評議会は1月26日に宣言の前倒し解除を決めており、議会での宣言解除の承認が待たれていた。

現在でも、ティグライ州と隣接する地域での散発的な戦闘の発生は時折伝えられるものの、国内の状況は落ち着いている。紛争当事者である前政権の旧主流派「ティグライ民族解放戦線(TPLF)」は2021年12月下旬からティグライ州に撤退している。政府も同州への進攻はしないとしている。物流経路も道路、鉄道ともに利用可能で、輸出入貨物は支障なく動いている。週末の盛り場では、大音量で音楽を流して楽しむ姿もみられ、1月にはエチオピア正教のクリスマスやティムカットなどの祝祭も通常どおり行われた。エチオピアでは2月5、6日にアフリカ連合(AU)総会(首脳会議)も開催された。同総会は、新型コロナウイルス感染拡大以来、2年ぶりの対面での開催となり、エチオピアの正常化を印象づけていた。

写真 2022年1月19日のティムカットの行列(ブラック ジャック ストラテジー撮影)

2022年1月19日のティムカットの行列(ジェトロ撮影)

写真 AU総会に向けたアフリカの連帯をアピールする街中の掲示(ブラック ジャック ストラテジー撮影)

AU総会に向けたアフリカの連帯をアピールする街中の掲示(ジェトロ撮影)

(関隆夫)

(エチオピア、アフリカ)

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