ダチア・サンデロ、2021年欧州市場でモデル別売り上げ3位獲得
(ルーマニア)
ブカレスト発
2022年02月07日
ルノー傘下のルーマニア自動車メーカー、ダチアは1月17日、同社の2021年の新車販売台数が、「新型コロナ禍」や電子部品(半導体)不足にもかかわらず前年比3%増の53万7,095台だったと発表した。人気モデルの「サンデロ(Sandero)」が22万6,825台と全体の42.2%を占めた。自動車産業調査会社のJATOダイナミクスによると、欧州28カ国における2021年のモデル別新車登録台数は、トップがフォルクスワーゲン(VW)ゴルフで20万5,408台、2位がプジョー208で19万6,869台、そのわずか77台の差で3位がダチア・サンデロで19万6,792台だった。
2021年3月に発売したバッテリー電気自動車(BEV)の「スプリング(Spring)」の販売も好調だ。ダチアのプレスリリースによると、2021年に2万7,876台を販売し、年末時点で4万6,000台以上の受注残を抱えている。スプリングは、欧州32カ国から自動車専門メディア関連者など1人ずつが審査員となって投票するオートベストの「欧州ベストバイカー2022」を受賞した。BEVが受賞したのは同賞21年の歴史で初めてのことだ。
ルーマニアで自動車電気系統部品を生産する日系メーカー幹部は、ジェトロに対し「スプリング向けの受注が急増する中、それを聞きつけた西欧の競合完成車メーカーからも引き合いが来るようになった」と話した。ルーマニアではダチアのほか、米国フォードも完成車工場を持つ。自動車の基幹部品で産業のコメともいわれるベアリングでは、日系のジェイテクトとNTN()がルーマニアで開発、生産を拡大するなど、自動車産業が西欧から東欧にシフトする流れがみられている。
ダチアは1968年創業で、1999年にルノー傘下に入り、2004年に5,000ユーロという低価格で小型モデル「ロガン(Logan)」を欧州市場に投入。以来、サンデロ、スポーツ用多目的車(SUV)「ダスター(Duster)」など、機能を絞った装備でコストを抑える一方、相応の走行性能、欧州受けするデザインという戦略で売り上げを伸ばし、現在、欧州や地中海地域44カ国で販売されている。
(西澤成世)
(ルーマニア)
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