ポルトガル総選挙、中道左派与党が予想外の単独過半数
(ポルトガル)
マドリード発
2022年02月07日
ポルトガルで1月30日、議会選挙(一院制・230議席)が実施された。今回は、2021年10月の予算案否決後の議会解散(2021年11月11日記事参照)を受けた総選挙だったが、世論調査や大方の予想に反して、アントニオ・コスタ首相率いる中道左派与党の社会党(PS)が獲得117議席で単独過半数を確保した(添付資料表参照)。
少数与党のコスタ政権は左派政党との限定的な閣外協力に頼ってきたが、政策をめぐる意見の対立とコスタ首相の独善的な傾向により、政権運営は難航していた。同首相は選挙戦で、協力相手の左派連合(BE)と統一民主連合(PCP-PEV)の強硬な態度により、「新型コロナ禍」からの回復のための予算法が成立せず政治混乱が生じたと批判。これが奏功し、保守左派層を中心に、「新型コロナ危機」からの回復と安定を求める票を獲得することができたとみられている。
右派では「極右」が台頭
中道右派の最大野党である社会民主党(PSD、ルイ・リオ党首)は得票を大幅に減らして敗北した。多くの票は他の新興右派政党に流れたとされ、「極右」と呼ばれているシェーガ(CHEGA)とリベラル・イニシアティブ党(IL)が第3党、第4党を占めた。
安定した政権運営へ
コスタ首相は勝利宣言で、「絶対多数とはいえ、極右を除く全ての政治勢力と対話していく」姿勢を表明した。産業界は、コスタ首相が急進左派政党の影響を受けることなく、政権を運営できることを歓迎している。商業・サービス連合(CCP)や企業連盟(CIP)などの主要経営者団体は、働きがいのある人間らしい仕事(decent work)や最低賃金といった労働者の権利にも配慮した、より対話的な労働法改革に関する交渉の再開に期待を寄せている。
(小野恵美)
(ポルトガル)
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