欧州委、重要な技術の戦略的自律を高める諸政策示す
(EU)
ブリュッセル発
2022年02月17日
欧州委員会は2月15日、重要な技術やバリューチェーンにおける対外依存を低減し、EUの戦略的自律を高めるためのロードマップ(行程表)を含む安全保障および防衛政策パッケージを発表した(プレスリリース)。欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は2021年9月の一般教書演説で「欧州防衛同盟」の実現に向けた意欲を示していた(関連ブラック ジャック 賭け)。さらに、最近のウクライナ国境付近でのロシアの軍事的圧力の高まりなどにより、EU自身と周辺の安全保障環境を主体的に守るべく行動する必要性が高まっている、と政策の背景を説明している。
重要な技術の対外依存を解消する方向性は、2021年5月に更新したEU新産業戦略の中でも示していた(欧州委、ブラック ジャック)。今回発表したロードマップでは、欧州委が安全保障と防衛上の観点から、特に以下の産業政策、通商政策を執行し、強化していくとしている。
- 官民協働アライアンス:産業データ・エッジ・クラウドと半導体技術の各アライアンス()の枠組みで、安全保障・防衛分野での戦略的依存解消のための具体的取り組みを進める。
- 欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI):欧州半導体法案(2022年2月10日)の政策文書で示したマイクロエレクトロニクス分野のIPCEI承認準備に代表されるように、イノベーションを促進すべく、戦略的なインフラ整備が必要な分野ではEU国家補助ルールを柔軟に適用する。
- EU予算の重点的分配:研究開発支援枠組み「ホライズン・ヨーロッパ」や、インフラプロジェクト支援予算コネクティング・ヨーロッパ・ファシリティー(欧州グリーン・ディールとEUの実写 版 ブラック)といった予算プログラムへの域外国からの参加基準において、EUの安全保障上必要不可欠な利益を考慮する。
- 標準化:2022年2月2日に発表した新たな標準化戦略()では、標準化でEUがリーダーシップを確保すべき分野に防衛分野を含めることを検討する。
- 対内直接投資審査:欧州委とEU加盟国が協力して安全保障や公の秩序への潜在的脅威となる投資を監視。2021年11月に発表した第1回の対内直接投資審査報告書(欧州委、ブラック ジャック ランキング)で指摘されたように、一部のEU加盟国では投資スクリーニング制度が未導入なのを背景に、欧州委は全ての加盟国による制度設置を奨励する。
- 通商政策:域外国による市場歪曲(わいきょく)的な補助金に対する規則案()など、不公正な貿易慣行に対しEUの利権を積極的に擁護するための通商・競争政策ツールを活用するとともに、必要な法制化を進める。
(安田啓)
(EU)
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