増加傾向にある郷里送金と、懸念される新規の労働者の国外派遣
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年02月09日
バングラデシュ中央銀行(CBB)は2月3日、1月単月の郷里送金額を17億445万ドルと発表した。2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の郷里送金については、月によって日数が異なるため単純比較は難しいものの、2021年11月まで減少傾向が続いていたところ、12月から前月比で微増に転じ、1月は7,379万ドルの増加(前月比約5%増)となった。一方、前年同月比では依然としてマイナス傾向にある(添付資料表1参照)。12月の外貨準備高は、2021年12月末時点で輸入額(注)の約10.2カ月分に相当する約461億ドルと、高水準を維持している(添付資料表2参照)。
現地報道によると、1月の郷里送金が前月比増に転じた背景として、1月2日にCBBが発表した現金インセンティブの割合引き上げ(送金額の2.5%相当の付与、関連ブラック ジャック 遊び方)を指摘する声や、一部の銀行などによる1%の追加インセンティブの付与が挙げられている(「ファイナンシャル・エクスプレス」紙)。例えば、bKash(ビー・キャッシュ、2021年11月24日記事参照)を利用し、2022年4月30日までに1万5,000タカ(約20,000円、1タカ=約1.3円)以上の郷里送金を行う場合、受取人はbKashから月2回、最高8回まで追加で1%(計3.5%)の現金インセンティブを得られる(「ビジネス・スタンダード」紙)。
インセンティブの割合引き上げにより、郷里送金額の増加は今後も期待される。一方で、新型コロナウイルスの影響による自国民の雇用を優先する動きや、労働市場の供給過多などにより、バーレーンやイラク、クウェート、ブルネイ、モーリシャスといった国々への新規派遣が滞っているとの報道もある(「デーリー・スター」紙)。中でもクウェートには、1976年~2021年に累計で約63万人を派遣(バングラデシュからの派遣先として国別で6位)している中、2020年~2021年は新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴うフライトの一時停止などにより、2019年比で年間1万人程度減少している。今後も引き続きオミクロン型変異株をはじめとする新型コロナウイルス感染拡大による、労働者の国外派遣への影響が懸念される。
(注)2020/2021年度の輸入額確定値(約544億ドル)。
(八百板翼、山田和則、安藤裕二)
(バングラデシュ)
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