在英日系企業に聞く、新型コロナによる物流混乱の影響

(英国)

ロンドン発

2022年02月15日

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に起因する港湾混雑、コンテナ不足や輸送コストの高騰は、英国の物流、製造業にも影響を与えている。ジェトロが在英日系企業に話を聞いたところ(2月3日)、新型コロナウイルスの感染拡大前と比べ、輸出入にかかる輸送コストは上昇し、輸送時間にも遅延が生じているという。各社の見方は以下のとおり。

○製造業者

  • 神戸港-シンガポール港-サウサンプトン港の航路は、港湾混雑とコンテナ不足の影響により、直近1カ月の英国への到着便は2週間程度の遅延となっている。同航路の2022年1~3月の運賃は、2021年の年間運賃と比較すると2.7倍に上昇した。
  • 日英間の航空貨物運賃は、2021年8月以降、高止まりが続く。一方、航空貨物のスペースは確保できており、製品を運べないといった状況ではない。
  • 荷物が英国に到着後、陸運のトラックドライバー確保が困難なこともある。

○物流会社(A社)

  • 英国では、引き続き港湾混雑が発生しており、今のところ改善はみられない。アジア発英国向け本船の入港予定日は2、3週間の遅延が引き続き発生し、日本発に至っては1カ月先の予約すら受け付けられない状況が続いている。
  • 英国発日本向け船便運賃は、2021年5月以降、運賃は大きく変動しておらず、高止まり傾向。ヒースロー空港発の航空貨物運賃も高止まりしている。

○物流会社(B社)

  • 引き続き船便の輸送日数は長期化。運賃は、ピーク時より若干下がっているが、非常に高い水準で推移している。高価格製品は、戦略的な空輸の検討も重要と考える。
  • 航空貨物は、旅客需要の低迷が続き運航状況も回復せず、供給の少ない状態が続いている。

○商社

  • 新型コロナウイルス感染拡大以降発生している港湾や海運の混乱は引き続き継続、改善はみられていない。要因は、(1)船の遅延、(2)コンテナ不足、(3)新型コロナウイルス感染の影響による港湾・トラック輸送などでの人手不足などが複雑に絡み合っている。
  • 英国において、港湾自体に荷物があふれていた状況は解消してきているが、人手不足の影響もあり、まだ本来の稼働率ではない。
  • 日本発欧州向けの船便運賃は欧州発日本向けの3倍程度と、日本発が異常に高い状況。
  • ヒースロー発着貨物の物量は2021年11月をピークに減少傾向。

(宮口祐貴)

(英国)

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