フランス、製造業のスタートアップ支援に23億ユーロ
(フランス)
パリ発
2022年01月27日
フランス経済・財務・復興省は1月19日、マクロン大統領が2021年10月に発表した投資計画「フランス2030」の一環として(マクロン大統領、戦略分野に300億ユーロのブラック)、ディープテックおよび製造業におけるスタートアップ企業向け支援策を発表した。2026年までの5年間に総額23億ユーロの資金を供給し、バイオテクノロジー、医療、ロボティクスなど戦略分野における新技術の実用化や国内での生産拠点づくりを後押しする。
具体的にはまず、スタートアップ企業による工場建設プロジェクトに5年間で総額5億5,000万ユーロを補助金または貸付のかたちで支給する。総コストが500万ユーロを超えるプロジェクトが適用対象となる。量産化の前段階となるプロトタイプの製造やパイロット生産ラインの建設に対してはBPIフランス(フランス政府公的投資銀行)を通じて総額1億5,000万ユーロの融資を行う。融資額は1件当たり300万~1,500万ユーロ、返済期間は10~15年で、国が最大80%の信用保証を付与する。さらに、10億ユーロの投資ファンドを設立し、量産化を目指すスタートアップ企業に出資するほか、BPIフランスに3億5,000万ユーロの投資ファンドを設立し、製造業のスタートアップ企業に特化したベンチャーキャピタルを育成する。
ディープテックの振興支援については、BPIフランスが2019年に立ち上げたディープテック分野のスタートアップ支援措置「ディープテック・プラン」の予算に1億5,000万ユーロを上乗せするとともに、同分野における技術開発プロジェクトに今後5年間で総額5,000万ユーロの補助金を支給する。
政府発表によれば、製造分野における国内のスタートアップ企業の数は約1,500社で、このうち700社がディープテック分野のスタートアップ企業だ。成功事例としては、物流拠点向けロボットを製造するエクゾテック(2022年1月24日記事参照)のほか、ライフ(グリーン水素)、アイテン(マイクロ電池)、アグロニュトリ(飼料用昆虫タンパク質)、アレディア(マイクロLEDチップ)、アフィレン(バイオ酢酸)などが挙げられるが、まだ数は少ない。
(山崎あき)
(フランス)
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