イタリア、感染拡大受け50歳以上にワクチン接種義務付け
(イタリア)
ミラノ発
2022年01月12日
イタリア政府は1月7日、新型コロナウイルス感染再拡大に伴う新たな暫定措置令を発表した(1月8日から有効)。イタリアでは2021年末以降、1日の新規感染者数が加速度的に増加しており、2022年1月6日に22万人弱を記録した(11日には22万人を超え、パンデミック以降の最多)。感染拡大阻止に当たっては、過去に実施されたロックダウンのような画一的な措置ではなく、新型コロナウイルスのワクチン接種有無を条件に社会活動をコントロールする方向だ。今回の措置令にかかる主な内容は以下のとおり。
- 1月8日から6月15日まで、公衆衛生の保護のため、および治療などの供給における適切な安全条件を十分に保持するため、50歳以上の者にワクチン接種を義務付ける。
- これに伴い、現在、イタリアでは職場へのアクセスの際に「基本グリーンパス」(注)の所持が義務付けられているが(2021年9月27日記事参照)、2月15日以降、50歳以上の者については「スーパーグリーンパス」の携帯が義務化される。なお、「基本グリーンパス」とは、ワクチン接種、新型コロナウイルス感染からの回復、ウイルス検査による陰性証明のいずれかを指すもので、「スーパーグリーンパス」とは、これら3つのうち陰性証明を除いた、ワクチン接種および感染からの回復の証明のみを対象とする。
- 2月1日から3月31日まで、役所、郵便局、銀行などのサービス利用にあたっては、「基本グリーンパス」を保持が必要となる。
イタリアでは、既に公共交通機関や飲食店の利用の際にも「スーパーグリーンパス」の保持を義務付けているが(2022年1月5日記事参照)、今回また1段階規制を強化したかたちだ。ワクチン接種完了者は人口の78.93%、3回(ジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチンの場合は2回)接種完了者は40.42%に上っているが(1月11日午後8時22分更新の「イル・ソーレ・24オーレ」紙ウェブサイト)、規制措置の実施を通じてさらなる接種促進を図る。
(注)「COVID-19グリーン証明書」の通称。「グリーンパス」と呼ばれてきたが、「スーパーグリーンパス」導入後、区別のため「基本グリーンパス」との呼称が定着してきたため、本稿では「基本グリーンパス」と省略。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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