米USTR、カナダとの次官級会談でデジタル税導入に懸念表明

(米国、カナダ)

米州課

2022年01月14日

米国通商代表部(USTR)のジェイミー・ホワイト次席代表は1月12日、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の初の次官級協議に先立ち、カナダ国際貿易省のデビット・モリソン次官とバーチャル形式で会談し、カナダのデジタルサービス税(DST)法案導入について懸念を表明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

カナダ連邦政府は12月に公表した2021年度経済・財政アップデートの中で、DST法案上程に先立つ動議を議会へ提案したことを明らかにしており、USTRはカナダがDSTを採用した場合、あらゆる選択肢を検討するとの声明を発表していた(2021年12月23日記事参照)。

また、ホワイト次席代表は、カナダが乳製品の関税割当制度(TRQ)などUSMCAの約束を完全に果たす重要性を強調した。USTRは、カナダが乳製品輸入に設定しているTRQの運用はUSMCAに違反すると主張していたが、1月4日にUSMCAの紛争解決パネルが米国側の主張を認める制裁を行ったことを発表している(USMCAの紛争解決パネル、米オンライン)。

ホワイト次席代表とモリソン次官は会談で、USMCAを完全に施行し、貿易が北米における公平性と好機を促進することを約束するとともに、気候危機への対応や強制労働、非市場的慣行への対象という共通目標にともに取り組むことを約束した。また、両者は米・カナダ間の鉄鋼貿易についても議論し、問題に対処するため引き続き協力し、オープンなコミュニケーションを維持することに合意した。

米上院財政委員会のロン・ワイデン委員長(民主党、オレゴン州)とマイク・クレイポー少数党筆頭委員(共和党、アイダホ州)は次官級協議と同じ日に、USTRのキャサリン・タイ代表に書簡を送付外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、カナダとメキシコが約束を守るよう、バイデン政権に対し、USMCAにより新たに創設された厳しい貿易執行手段を用いるよう要請した。書簡の中で、カナダのデジタルサービス税導入について、「OECDの交渉担当者による長年の苦労を台無しにしかねない厄介な先例を作る危険性がある」と指摘している。

(大塚真子)

(米国、カナダ)

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