第4四半期の米新車販売は前年同期比2割減、年間ではトヨタが初の全米首位に
(米国)
ニューヨーク発
2022年01月12日
モーターインテリジェンスの発表(1月3日)によると、米国の2021年第4四半期(10~12月)の新車販売台数は、前年同期比21.2%減の330万6,747台となった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染のパンデミック拡大後、需要は順調に回復したものの、世界的な半導体供給不足や、港湾での人手不足などによる物流の停滞などで、在庫が不足したことが大幅減の要因となった。自動車関連サービス企業のコックスオートモーティブによると、業界全体における2021年の年初数週間の在庫台数は、販売日数に換算して70日分を超えていたものの、第4四半期には30日分近くに減少した。
部門別にみると、乗用車が前年同期比31.4%減の65万9,442台、小型トラックが18.2%減の264万7,305台となった。全車種で2桁減となり、中でも中型乗用車は減少幅が最も大きく34.8%減となった。部門別のシェアでみると、高価格帯の車両が多い小型トラックが全車に占める割合は80.1%を占めた。中でもスポーツ用多目的車(SUV)は54.3%と、データが確認できる1978年以降で最高となった。こうした高価格帯車両の人気の高まりから、第4四半期の1台当たりの平均車両価格は4万1,149ドルと高い水準だ(トゥルーカー・ドットコム12月22日)。また、在庫薄の中で各メーカーが提供する割引額は1台当たり平均1,756ドルと低い水準にとどまった。
第4四半期の販売を主要メーカー別にみると、首位はフォードの50万4,138台となった(添付資料表2参照)。フォードの首位は1998年第3四半期(7~9月)以来となる。減少幅も前年同期比6.4%減と、主要メーカー中で最小にとどまった。中型乗用車「フュージョン」が99.5%減と大幅に減少したものの、SUV「ブロンコ」や中型ピックアップトラック「マーベリック」、バッテリー式電気自動車(BEV)のSUV「マスタングマッハE」などが好調だった。
トヨタは小型乗用車「カローラ」、SUV「RAV4」などが減少。ゼネラルモーターズ(GM)はSUV「エクイノックス」、大型ピックアップトラック「シルバラード」など、ステランティスもSUV「チェロキー」、大型ピックアップトラック「RAM」といずれも人気モデルが大幅に減少した。ホンダはSUV「CR-V」、ミニバン「オデッセイ」、日産は乗用車「アルティマ」、SUV「ローグ」が減少、スバルはSUV「フォレスター」などが大きく減少した。一方、電気自動車メーカーのテスラは前年同期比69.0%増の11万5,248台と、四半期ごとの販売台数では初めて10万台を超え、主要メーカー別シェアでは11位の3.5%となった。SUV「モデルX」が8.5倍、乗用車「モデルS」が3.5倍と大きく伸びた。
2021年の新車市場は異例ずくめ
2021年の年間販売台数は、年前半が伸びたことから、前年比3.4%増の1,508万1,117台と増加した。ただし、2019年比では11.6%減と減少した。車種別では、小型トラックのシェアが少なくとも1980年以降では最大となる77.3%を記録し、メーカー別ではトヨタが1931年以来首位を維持してきたGMを抜き、233万2,262台で全米首位となった(オートモーティブニュース1月8日)。新型コロナウイルス感染拡大や半導体不足、物流の停滞など、生産販売を取り巻く異例ずくめの環境の中での実績について、北米トヨタのジャック・ホリス・シニア・バイス・プレジデントは顧客に「感謝している」と述べるとともに、「ナンバーワンであることは決して焦点や優先事項ではない」と慎重な態度を示している(ロイター1月4日)。なお、2021年年間の新車市場に関しては、別途レポートで報告する。
(注)フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグループPSAが2021年1月16日に経営統合した。
(大原典子)
(米国)
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