2021年のインフレ率は50.9%、2022年はさらに加速の見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年01月17日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は1月13日、2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)を発表した。全国平均値は前月比3.8%だった。11月に減速したものの、12月に再び加速した。前年同月比(年率)では50.9%上昇した(添付資料図参照)。2021年は、1991年にハイパーインフレを記録してからの過去30年間で、2019年の年率53.8%に次ぐ高い上昇率となった。

季節により価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは、前月比3.7%上昇し、11月の0.5%から大きく伸びた。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは、1.7%上昇した。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は4.4%上昇し、15カ月連続で3%台以上に高止まりしている。コアインフレ率を年率でみると、54.9%上昇した。

費目別にみると、前月比で上昇率が大きかったのは、外食・ホテル(5.9%)、酒類・たばこ(5.4%)、交通(4.9%)、衣類・靴類(4.8%)(添付資料表参照)。消費者物価指数に占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)の上昇率も4.3%と高く、11月の2.1%から加速した。

国内商業庁は1月12日、物価上昇を抑制する目的で2021年に打ち出した価格凍結制度が「成功した」として、2022年中も食料品をはじめとした生活必需品の価格を統制する制度「マス・プレシオス・クイダードス」を継続すると発表した。対象品目は1,321品で、月当たり平均2%の価格上昇が認められる。3カ月ごとに価格が見直される方針だ。

現地民間エコノミストらの2022年のインフレ率見通しは54.8%で、2021年をさらに上回るとの見方だ。これまで価格統制されてきたさまざまな財やサービス価格が見直される可能性があることやIMFとの交渉の行方が影響するためだとしている。例えば、電気やガスの公共料金は2020年から凍結されているが、2022年中には約20%の値上げが予定されている。ほかにも、電話・インターネット・ケーブルテレビなどの料金は1月から既に9.8%、医療は9%の値上げが許可された。自動車登録税は約30%、高速道路料金は平均45%、ブエノスアイレス市内の駐車料金は50%の値上げ、などが見込まれている。燃料は2021年5月に引き上げられたのを最後に、12月にも価格見直しが予定されていたものの延期されている(各種現地報道)。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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