小売産業の外資規制緩和法案が成立へ

(フィリピン)

マニラ発

2022年01月13日

フィリピン政府は1月6日、2021年12月10日にドゥテルテ大統領が小売り自由化法(2000年施行)での外資規制を緩和する法案に署名していたことを発表した(政府通信社1月6日付)。現行の小売り自由化法では、フィリピンにおいて小売業に進出する外資系企業に対して、国内事業者保護の観点から厳しい規制を設けていた。同法を改正することで、外資系企業がフィリピンで小売業に進出するに当たって参入障壁となっていた各種規制を緩和し、外資系企業によるフィリピンへの投資を活発化させることが狙い。

改正法案は官報への掲載から15日後に発効と規定されているが、同法案の官報掲載日は2022年1月6日となっている。改正法案の概要は以下のとおり。

  • 外資系企業の場合、払込資本金を250万ドル以上と規定していた要件を、2,500万ペソ(約5,750万円、1ペソ=約2.3円)以上に引き下げ。
  • 外資系企業が実店舗を運営する場合、各店舗への投資額を83万ドル以上と規定していた要件を、1,000万ペソ以上に引き下げ。
  • 外資系企業の場合、フィリピンから事業撤退する場合を除き、払込資本金を2,500万ペソ以上の金額で維持し続けなければならない。なお、同要件を満たすことができなかった場合、罰則が科される。
  • 現行の小売り自由化法では、小売業で5年以上の実績を有することや、世界で小売店舗もしくはフランチャイズを5件以上展開していること、親会社の純資産について一定金額以上であることを要件としていたが、これらの要件を撤廃する。

フィリピン財務省(DOF)のカルロス・ドミンゲス大臣は1月9日、ドゥテルテ大統領の署名発表を受け、「改正法案は外資系の小売事業者がフィリピンに参入し、雇用を創出するきっかけとなり得る」とコメントした。また、「改正法案が事業者間の競争を促すことで、消費者は多様な財をより安価に消費する便益を得るだろう」と付け加えた。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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