新たな外資ネガティブリスト発表、完成車製造の出資規制を撤廃
(中国)
北京発
2022年01月05日
中国の国家発展改革委員会と商務部は12月27日、外資系企業の投資を制限・禁止する分野を示した「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)(2021年版)」(国家発展改革委員会、商務部令第47号)を公布、1月1日から施行した(添付資料表参照)。
今回のリストと2020年版リストを比較すると、(1)完成車製造に関する持ち分比率制限と同類の完成車製造の合弁企業数を2社以下とする規制、(2)衛星テレビ放送の地上受信設備と重要部品の生産に関する規制の2点が削減され、制限・禁止対象分野は全31項目となった。
(1)については、国家発展改革委員会が既に2018年4月、2022年までに規制を撤廃する方針を発表しており、それに基づき2018年に専用車と新エネルギー自動車、2020年に商用車の持ち株比率規制と合弁企業数を2社以下とする規制を撤廃していた。今回の措置により、乗用車を含む全種類の完成車の持ち株比率規制と合弁企業数制限を撤廃した。
これまでの規制緩和措置を踏まえ、2018年には米国テスラが独資で法人を設立、2020年にはドイツのフォルクスワーゲンが増資により安徽江淮汽車との合弁企業である江淮大衆の75%の持ち分を取得、2021年にはアウディとフォルクスワーゲングループチャイナが中国第一汽車と合弁で奥迪一汽新能源汽車を設立し、60%の持ち分を取得している。今回の規制緩和措置を踏まえ、中国における外資系自動車メーカーの新たなビジネス展開も期待される。
禁止分野の国内企業の国外上場の審査を強化
同時に、ネガティブリスト前段の説明では、(1)外資系企業の投資は本リスト関連規定に合致すべきこと、(2)本リストの投資禁止分野の業務を実施している中国国内企業が国外で上場する場合は国の審査・同意が必要で、外国の投資者は当該企業の経営管理に参加してはならず、その持ち株比率は国内証券投資管理の関連規定に従うことなどが追記された。
(2)について、国家発展改革委員会は該当する国内企業の上場を審査するのではなく、国外上場に当たり本リストの禁止規定を適用しないことを審査するとしている。また、本措置は既に外国で上場している企業に対して持ち分比率の調整を求めるものではなく、新たに上場する企業が対象となる。現行規定では、外国投資者の持ち分比率の上限は単独で10%、全体で30%を上回ってはならないとしている。国内外双方で上場している場合には、両者に対する外国投資者の持ち分を合算した上で、出資比率を上述の制限範囲内に抑える必要がある。
(河野円洋)
(中国)
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