中央経済工作会議、共同富裕など5点を重要と認識

(中国)

中国北アジア課

2021年12月21日

中国における2022年の経済政策の方針を決める中央経済工作会議が12月8~10日に北京市で開催され、2022年の基本方針として「安定」を最優先とし「穏中求進」(安定の中で前進を求める)という全体の基調を堅持する方向性が示された(2021年12月14日記事参照)。

同会議では、中国が新しい発展段階に入り、内外環境の大きな変化を受けた多くの新たな課題に直面していることを踏まえ、以下の5つの点を正確に認識する必要があるとした点が注目に値する。

  1. 共同富裕を実現するための戦略目標や実現のための手段。共同富裕の実現は、まず「富のパイ」をしっかりと大きくしてから、合理的な制度の調整によってそのパイを切り分けなければならない。長期的な歴史プロセスで、この目標に向かって着実に進んでいく必要がある。意思と能力のある企業および社会集団が積極的に公益慈善事業に参加することを支援する。
  2. 資本の特性と行動の規律。資本に対する「信号機」を設置し、法に基づいて資本に対する効果的な監督管理を強化し、資本の野放図な拡大を防止する。公有経済の発展を堅持しつつ、非公有制経済も発展へと導く。
  3. 一次産品の供給保障。国内の資源生産保障能力を強化し、石油や天然ガスなどの資源の先進的採掘技術の開発・応用を加速し、廃棄物の循環利用システムの構築を加速する。農業の総合生産能力をより向上させ、中国人の食糧がいかなる時も自らの手で確保可能であるようにする。
  4. 重大リスクの防止・解消。金融分野での地方政府、金融監督当局、各業界主管部門などの責任を明確にし、また企業が自力で対処する主体としての責任も明確にする。
  5. カーボンピークアウトおよびカーボンニュートラル。カーボンピークアウトおよびカーボンニュートラルの実現は、断固推進しなければならないが、これを一気に成し遂げることはできない。伝統的エネルギーから次第に脱却していくのは、新エネルギーが安全かつ信頼できる代替だという前提のもとでなければならない。石炭を主要なエネルギー源としている中国の基本的な国情に立脚し、石炭のクリーンで高効率な利用を強化しつつ新エネルギーの受け入れ能力を高め、石炭と新エネルギーのベストミックスを推進する。

共同富裕の実現、独占や不正競争の防止、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みなど今後の政策の重点と、原材料価格の高騰、企業債務の拡大、電力不足の発生など直近の課題を踏まえた設定とみられる。

(宗金建志)

(中国)

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