英政府が5G普及へ計画を発表、2G・3Gを2033年までに段階的廃止へ
(英国)
ロンドン発
2021年12月15日
英国政府は12月8日、国内の第2世代(2G)と第3世代(3G)の移動通信システムについて、2033年までに段階的に廃止すると発表した(政府プレスリリース)。通信事業者のサプライチェーンの安全性を強化し、より高速なモバイルネットワークへの円滑な移行を支援する施策の一環としている。
同施策は、英国での第5世代移動通信システム(5G)のさらなる普及につなげる狙いがある。2G・3Gサービスを終了することで、同サービスの周波数帯を5Gに割り当てることが可能になるほか、消費電力削減や2G・3G機種の廃止によるコストメリットを享受できるとしている。加えて、新規サプライヤーによる5G市場への参入の活性化にも寄与するとしている。段階的廃止の日程に関して、政府は国内の移動体通信事業者(ボーダフォン、EE、バージン・メディアO2、スリーUK)との間で合意したことも明らかにした。
英国政府は併せて、通信ネットワークの安全性強化に向けて5,000万ポンド(約75億円、1ポンド=約150円)超を拠出することを発表した。2030年までに国内のモバイルネットワーク通信の35%を通信事業者の機器の相互運用を可能にする技術「オープン・ラン(Open RAN)」経由にする目標に向け、イングランドやスコットランド、ウェールズで実施される15の試験運用プロジェクトに3,600万ポンド拠出するほか、6月に開設された次世代通信技術のプロトタイプ試験施設「スマートRANオープンネットワーク相互運用性センター(SONICラボ)」()に1,500万ポンド拠出する計画だ。
英国は2020年11月、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を含む高リスクベンダーの製品を排除するためのロードマップを発表。併せて発表した総額2億5,000万ポンドの拠出を計画する「5Gサプライチェーン多様化戦略」の中で、一部の大手通信機器事業者への依存を避け、潜在的な新規事業者の市場参入を促進したい考えを示していた(2020年12月7日記事参照)。これらを踏まえた2021年通信(安全保障)法は2021年11月17日に成立している。
(尾崎翔太)
(英国)
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