バイデン米政権、北京五輪の外交的ボイコットを発表
(米国、中国)
ニューヨーク発
2021年12月07日
バイデン米国政権は12月6日、2022年冬季に中国で開催される北京オリンピック(五輪)について、外交的なボイコットを発表した。新疆ウイグル自治区における人権侵害を理由に、政府関係者を派遣しない方針を示した。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官によると、バイデン政権は、パラリンピックを含む北京五輪に、外交的または政府を代表する一切の派遣を行わないことになる。なお、スポーツ選手は米国代表として大会に参加可能で、米国政府も国内から選手を支援することが表明された。
ボイコットの理由について、サキ報道官は「新疆ウイグル自治区において継続中の大量虐殺(ジェノサイド)および人道的な犯罪行為その他の人権侵害」を主張した。バイデン政権は、人権侵害への対応を通商政策における最優先課題として、同自治区からの強制労働に依拠する製品輸入の差し止めなどの対抗措置を矢継ぎ早に発表している(注)。
北京五輪のボイコットについては、米国議会でもミット・ロムニー上院議員(共和党、ユタ州)とティム・ケイン上院議員(民主党、バージニア州)らが、対中政策の一環として提案していた。米国メディアのアクシオスが2021年8月に実施した世論調査によると、回答者の約半数(49%)が人権侵害を理由とする北京五輪のボイコットを支持している。党派別には、共和党支持者の61%がボイコットに賛同し、民主党支持者(50%)や無党派(36%)を上回る。
ジョー・バイデン大統領も、2021年11月にボイコットを検討中であることを明らかにしていた。米政府関係筋によると、ボイコットは数週間前に決定されていたが、バイデン大統領と中国の習近平国家主席の電話会談(2021年9月13日記事参照)後、両国関係が安定するまで時間の経過を待っていたとされる(「ウォールストリート・ジャーナル」紙12月6日)。
他の同盟国について、米国のボイコットに追従するよう求めるかを問われた際、サキ報道官は「われわれの決定については既に伝えている。判断については、他国が独自に行うよう当然任せる」と述べた。
(注)バイデン政権による人権侵害への対応については、新疆ウイグル自治区からの輸入差し止めを含めて、人権侵害に対する施策が日系企業にも影響(米国)参照。
(藪恭兵)
(米国、中国)
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