商務省、1月からのRCEP協定発効に向けて準備整う
(タイ)
バンコク発
2021年12月27日
タイ商務省外国貿易局(DFT)のチュティナン・シリヤーノン副局長は12月15日、2022年1月1日から地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、中国、日本の加盟10カ国の間で、正式に発効することを発表した。それに伴い、DFTは2021年12月16日に利用方法などに関するウェビナーを実施した。DFTは、RCEP協定の原産地証明書(C/O)であるフォームRCEPや自己証明制度を管轄している。
フォームRCEPの発行基準や必要手続きは、12月8日付のDFT通知に記載されている。フォームRCEPの発給は、電子署名・シール(ESS)システムを通じて行われる予定で、利用フローの詳細は12月22日付のDFT発表で確認ができる。DFTは12月16日に、事業者向けに試用版のフォームRCEP発給申請システムを公開した。事業者は、RCEP協定の利用検討に当たって同システムを事前に操作することが可能で、2022年1月4日からフォームRCEPの発給申請を行うことができる。
原産性を確認するための原産地規則検認システム(ROVERs)については、RCEP協定への対応が済んでおり、既存のFTAと同様に必要書類を添付して申請するかたちとなる。ただし、ベトナム、中国、日本向けの輸出の場合、輸出者はDFT通知に添付された物品リストを参照し、輸出品が追加の原産地確認要件の対象となるか確認する必要がある。
また、自己証明制度に向けた認定輸出者登録も2021年12月16日から開始された。物品の原産性を自己申告(Declaration of Origin:DO)する場合は、DFT通知に規定された要件〔ASEANワイド自己証明(AWSC)制度の利用実績、またはRCEP協定締約国に輸出するに当たってのC/O申請実績など〕を順守する必要がある。認定輸出者は2022年1月1日から自己証明を利用でき、登録は2年間有効となっている。
タイにおけるRCEPの原産性証明方法としては、フォームRCEPによる第三者証明、もしくは認定輸出者によるDOとなっている。フォームRCEPの表面には17の欄があり、裏面には15項目の記載がある。従来のC/Oと異なる特徴は以下のとおり。
- 第3欄:生産者名、住所、国名
- 第9欄:物品のHSコード(6桁レベル)(第8欄「物品の摘要」から分離)
- 第10欄:原産性の基準
- 第11欄:RCEP原産国
- 第14欄:備考(第8欄と分離して記載)
輸出者は発給申請に当たって、輸出品のHSコード(HS2012)と品目別規則(PSR)を確認する必要がある。その他、僅少の非原産材料(デミニマス)ルールや、累積(締約国間ロールアップ)制度については、ジェトロのRCEP協定解説書を参照。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
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