新型コロナの感染再拡大を受け、2021年2回目の災害事態を宣言
(ポルトガル)
マドリード発
2021年12月01日
ポルトガル政府は11月25日、新型コロナウイルス新規感染者数が増加傾向に転じたため、12月1日から、2021年2回目となる「災害事態」を宣言すると発表した。これにより、以下のとおり規制措置を強化する。
- 可能な職種は在宅勤務を推奨。2022年1月2~9日の期間は在宅勤務を義務付ける。
- 観光・宿泊施設、レストラン・バー・飲食店(屋外は除く)、座席指定のない大型イベント、スポーツジムにおける「EUデジタルCOVID証明書」の提示義務付け。
- 高齢者施設、介護施設、医療機関における陰性証明書の提示義務付け(ワクチン接種済みの場合も必要) 。
- 2022年1月2~9日の期間はバー、クラブを閉鎖する。
- ポルトガルへの空路入国者に対し、EUデジタルCOVID証明書、出発前72時間以内のPCRを含む核酸増幅法検査または出発前48時間以内の迅速抗原検査の陰性証明書のいずれかの提示を義務付け(空路以外での入国者にも必要に応じて適用する場合がある)。
また、新型コロナウイルス関連法令の一部について、以下の規制措置や支援について延長・強化された。
- 職場における新型コロナウイルス感染リスクの最小化のための「例外的な臨時体制」を2022年3月31日まで延長。
- 労働者の「臨時所得支援」を2022年2月21日まで延長。
- 各種教育機関は2022年1月2~9日の期間閉鎖する。
- 商業施設、公共施設、公共交通機関などでのマスク着用を義務付け。
- 陰性証明書を持たない乗客の搭乗を許可した航空会社への罰則を強化。
さらに、渡航者位置特定フォーム(PLF)の実施体制を確立する法令が承認された。
保健省によると、2021年11月14日時点のポルトガルのワクチン接種率は欧州で最も高く、全人口における2回の接種率は86%、65~80歳グループではほぼ100%となっているが、11月28日に13件の新たな変異株(オミクロン株)の症例が発見され、感染拡大懸念が再燃した。なお、ポルトガル国立衛生研究所は、同変異株について現在のワクチンの有効性の低下を裏付ける科学的データはないとコメントしている。
政府は消費が活発なクリスマスと新年の期間中、活動制限など封じ込めは行わないが、2021年1月に1日の新規感染者数が1万人(11月29日現在1,635人)を超える爆発感染が起こったことを教訓として、上記のとおり、2022年1月2~9日は在宅勤務を義務付け、教育機関も休校とする。
また、欧州近隣諸国の感染者急増やオミクロン株への対応処置として、特にアフリカからの入国者への渡航制限を強化。11月27日から、モザンビーク、南アフリカ共和国、ボツナワ、エスワティニ、レソト、ナミビア、ジンバブエからの入国者に対し14日間の自主隔離を義務付けた。また、11月29日からモザンビークからのフライトを一時停止した。
(小野恵美)
(ポルトガル)
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