サプライチェーン強靭化を日豪印のデジタル企業との連携で実現
(日本、オーストラリア、インド)
企画部企画課
2021年12月02日
貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響を背景に、広域な生産・販売ネットワークに関わる企業にとって、サプライチェーン(SC)の強靭(きょうじん)化はますます重要になっている。ジェトロと経済産業省は2021年11月18日、オーストラリア、インド両政府および政府機関と共催で、ウェビナー「SCRI×J-Bridgeタイアップイベント~実写 版 ブラック ジャック企業との連携で実現する、デジタル時代のサプライチェーン~」を開催した。日豪印経済大臣会合で立ち上がったサプライチェーン強靭化イニシアティブ(SCRI)と、ジェトロのビジネスプラットフォームJ-Bridgeのタイアップ企画だ。
本ウェビナーでは、SC再編成の必要性が説かれ、そのために、外部との連携やデジタル技術の導入が有用であること、サプライチェーンマネジメント(SCM)の事例、各国政府機関の支援などが紹介された。
冒頭、松尾剛彦経済産業省通商政策局長は、SC改革のために、一企業で対処するのではなく、SC可視化・最適化ソリューションを持つ企業との連携が重要との認識を示した。また、アミット・ヤダブ・インド商工省商務局外国貿易部次官補は、「新型コロナ禍」でリスクが明白になった世界のSCは、根本的な再編成の時期を迎えていると指摘した。
企業紹介セッションでは、日豪印を代表する6社が登壇し、SCに関するさまざまなソリューションが紹介された。各社は、提携先・投資家・ソリューション導入先を探しており、ジェトロでは、SCに課題を持つ企業とのマッチングにつなげるべく、各社との商談希望を受け付けている。それらの企業は以下のとおり。
- インダストリー・ワン(日):機械学習を用いた需要予測と発注最適化
- Locus(印):ラストワンマイルの物流プラットフォーム
- Smart Ship Hub(印):船舶管理のデジタルプラットフォーム
- Fresh Supply(豪):ブロックチェーンを活用したSCの追跡システム
- Remi AI(豪):AI(人工知能)を活用したEC(電子商取引)・小売業向け需要予測と価格最適化
- dereOida(豪):クラウドとAI・機械学習を活用した倉庫管理
パネルディスカッションでは、日豪印から4社が登壇し、SCMの先駆的取り組みが紹介されるとともに、環境・人権といった価値観、リスク管理などの重要性が指摘された。
最後に、ヘレン・スティリアヌ豪州外務貿易省第1次官補は、これまで貿易・調達ではコスト競争力が重視されていたが、これからは信頼が重要と強調した。
1カ国では完結しないSCの強靭化に向け、日豪印3カ国の取り組みは始まったばかりだ。今後の官民の連携が期待される。
(遠藤壮一郎、小沼千晴)
(日本、オーストラリア、インド)
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