税制改正法を官報に掲載、2022年1月に施行
(ポーランド)
ワルシャワ発
2021年12月01日
「ポーランドディール政策(Polski Ład)」(2021年5月31日記事参照)の税制改正部分の法律が11月23日に官報に掲載された。同16日にアンジェイ・ドゥダ大統領が新たな税制改正法に署名したことによるもので、今回掲載の法律のほとんどが2022年1月1日から施行される。
ポーランド政府によると、今回の税制改正により、国全体で年間170億ズロチ(約4,590億円、1ズロチ=約27円)が減税され、1,800万人が減税対象者になると想定されている。
主な改正点は以下のとおり。
- 個人所得税の免税額を3万ズロチに増額。
- 32%の個人所得税率が適応される1人当たりの年収を8万5,528ズロチから12万ズロチに引き上げ。
- エンジニア、IT専門家、医者などを対象とした所得へのフラット課税率の引き下げ。
- 月額2,500ズロチまでの年金収入は非課税に。
- 雇用者と被雇用者の健康保険料の負担率を収入に合わせることで、健康保険料の公平化を図る。
- 起業家を対象とした税の優遇措置、給付金の導入。
- インフォーマルな雇用やタックスヘイブンへの利益移転などのシャドーエコノミー(非公式経済)活動を制限。
- 対内投資を促す税制と環境の構築。
ヤン・サルノフスキー財務副大臣は今回の税制改正について「ポーランドは21世紀の税制を取り入れることとなり、欧州で最も現代的な税制と同等のレベルになる。この税制改正がもたらす施策は、ポーランド経済の発展を加速させる強力な推進力となるだろう」とコメントした。
一方で、11月5日に公表されたレビアタン(注)が実施した調査によると、起業家の72%が税制改正案に否定的な態度を示していた。また、政府の発表を受けて、レビアタンの専門家は同17日、今回の税制改正は数多くの法律の解釈に疑問があり、内容も非常に複雑で不正確だと指摘している。ほとんどの法律が2022年1月1日から施行されるが、施行までの期間が約6週間では企業が適切な準備をすることは非常に難しく、法律の疵瑕(かし)を修正するために別の改正法案が直に下院に提出される可能性もあるとし、混乱を予想している。
(注)4,100社以上の企業から成るポーランドで最も影響のある企業連合。
(今西遼香、ニーナ・ルッベ)
(ポーランド)
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