バイデン米政権、初の民主主義サミットを主催、関連政策を発表
(米国、中国、ロシア)
ニューヨーク発
2021年12月10日
ジョー・バイデン米国大統領は12月9日、初の試みとなる民主主義サミットを開催し、「民主主義の刷新のための大統領イニシアチブ(以下、大統領イニシアチブ)」を発表した。同サミットの主催はバイデン大統領の選挙公約に含まれていた件で、111カ国・地域を招いて2日間にわたり、バーチャル形式で行われている。
バイデン大統領は開会あいさつで、「民主主義に対する持続的かつ憂慮すべき挑戦に直面する中、世界中において普遍的人権と民主主義が擁護されなければならい」と趣旨を説明するとともに、2日間で参加者と「自らの民主主義を強化するとともに専制主義を押し返し、腐敗と闘い、人権を推進・保護するための具体的な約束を結ぶ」と目標を述べた。昨今、米国や諸外国との間で懸案を抱えている中国とロシアは招待されなかった。各国首脳間でのバーチャル面談は非公開となるが、その他のセッションは国務省のウェブサイトで視聴が可能となっている。
大統領イニシアチブは、今後1年間で最大4億2,440万ドルを投じて、(1)自由で独立したメディアの支援、(2)腐敗との闘い、(3)民主的改革者の支援、(4)民主主義のための技術の促進、(5)自由で公正な選挙・政治プロセスの防衛、の5分野で、有志国や非政府団体と協力していくとしている。いずれの分野でも、取り組みを進めるためのプログラムや基金を立ち上げ、主に米国国際開発庁(USAID)を通じて諸外国・地域へ資金援助を行う枠組みとなっている。このほか、バイデン政権は(2)に関して、サミット前の12月6日に、米国政府として初となる「腐敗への対抗のための国家戦略」を発表している。強化する取り組みの中には、腐敗に関連する人物への法執行・制裁強化も含まれており、財務省外国資産管理局(OFAC)はここ数日、腐敗関連で外国政府関係者らを多数、制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定している。
人権侵害を防ぐための有志国による輸出管理枠組み
大統領イニシアチブには、専制国家がデュアルユース製品を用いて人権を侵害するリスクを軽減するために、有志国で「輸出管理と人権イニシアチブ」を立ち上げるとしている。参加国で、輸出管理の仕組みを利用してリスクのある製品の拡散をいかに監視・制限していくかについて取り組むとしている。現時点では、参加国などの詳細は明かされていない。
(磯部真一)
(米国、中国、ロシア)
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