イスラエルとヨルダンが水・エネルギー分野で協力、UAEが仲介

(イスラエル、ヨルダン、アラブ首長国連邦)

テルアビブ発

2021年11月19日

11月17日付「エルサレム・ポスト」紙は、イスラエルとヨルダンが水・エネルギー分野で協力合意を締結すると報じた。今回の合意はアラブ首長国連邦(UAE)の仲介によるものという。22日にUAEでイスラエルのカリン・エルハラ・エネルギー相とヨルダンのムハンマド・アル・ナジャル水資源相が合意文書に署名する予定で、米国のジョン・ケリー気候変動担当大統領特使とスルタン・アル・ジャベルUAE気候変動特使が立ち会うとしている。

この合意により、イスラエルはヨルダンに水を輸出する目的で、新たに海水淡水化プラントの建設可能性について検討を始める予定だ。また、ヨルダンはイスラエルへの電力輸出を念頭に、国内の砂漠地帯に太陽光発電施設の建設を検討する。イスラエル側は同時に、太陽光発電からの蓄電技術の実証試験を計画するとしている。

同報道によると、今回の合意の背景には、環境NGOの「エコピースミドルイースト(エコピース)」のプロジェクト「Water & Energy Nexus」があるという。エコピースは、1994年にエジプト・ターバでの会合で設立され、当初は現メンバーのイスラエル、パレスチナ、ヨルダンに加えて、エジプトの環境活動家も参加していた。現在はテルアビブ、ラマラ、アンマンの3カ所に拠点を置き、環境問題や資源活用への草の根の取り組みを中心として、国境を越えた人々の協力関係を構築するプロジェクトベースの活動と、政府レベルでのアドボカシー活動の両輪で運営されている。

「Water & Energy Nexus」のプロジェクトでは、域内国・地域間で水資源や持続可能なエネルギー資源について相互の協力関係を強めることを目的としており、イスラエルやガザの沿岸部での海水淡水化と、ヨルダンの再生可能エネルギー開発との相互連関に向けた調査・提言を進めている。今回の合意内容も、イスラエルとヨルダンが相互に有する資源を持ち寄って協力し合う枠組みとなっていることから、今後も環境・資源分野での域内協力の進展が期待される。

(吉田暢)

(イスラエル、ヨルダン、アラブ首長国連邦)

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