COP26で気候変動対策への取り組み強化を発表
(フィリピン)
マニラ発
2021年11月19日
フィリピンのカルロス・ドミンゲス財務相は11月9日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)において、フィリピン政府が気候変動に対する取り組みを強化していくとの姿勢を表明した。また、フィリピンは2030年に温室効果ガス排出量について75%の削減を目指すと明言した。
フィリピン政府の気候変動や環境保全に関する取り組みは以下のとおり。
- 低炭素社会への移行を促進するために、サステナブル・ファイナンスに関するロードマップを策定した(2021年10月発表、注)。同ロードマップでは、サステナブル・ファイナンスをフィリピンで活性化させるに当たっての、フィリピン政府の指針・計画などについて記載している。
- 使い捨てプラスチックの生産・輸入・販売・流通などを規制する法案の可決を推進している。
- 石炭火力発電から再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギーへの転換を促進するため、2021年11月にアジア開発銀行(ADB)との間でパートナーシップを結んだ。
- 2020年10月に石炭火力発電の新設認可を凍結した。
フィリピン財務省によると、同国は気候災害のリスクが非常に高い。2010年から2019年にかけて気候に起因した災害により、同国のインフラストラクチャーについて約4,630億ペソ(約1兆649億円、1ペソ=約2.3円)の損失が発生した。また、2020年だけで1,134億ペソの損失をもたらした。同国が直面している気候災害リスクとして、具体的には、海面上昇によって小さな島々に居住する住民については移動を余儀なくされることや、海岸浸食、洪水や熱帯低気圧の発生頻度・規模の拡大など。ドミンゲス財務相は「明らかに、気候変動はフィリピンにとって真に迫った問題だ」と発言した。
(注)ロードマップの中で、持続可能な経済活動を金融面から支援することは、循環型経済を実現させる上で極めて重要と記載されている。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)
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