ジョコ大統領、COP26で気候変動対策の貢献アピール、一部専門家は反発

(インドネシア)

ジャカルタ発

2021年11月09日

インドネシアのジョコ大統領は11月1日、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳会議でスピーチを行った。「気候変動は世界の繁栄と発展に対する大きな脅威だ。グローバルなパートナーシップ、協力がカギとなる」と述べ、「悪化し続ける気候変動への対処を支援する」と、インドネシアのコミットメントを強調した。

ジョコ大統領は、過去20年間で森林破壊や森林火災の減少が続いていることを成果として挙げ、電気自動車エコシステムの開発や、東南アジア最大の太陽光発電所の建設、バイオ燃料を含む新しい再生可能エネルギーの使用、北カリマンタンに所在するグリーン工業団地など、エネルギー分野の前進をアピールした。今後の動きとして、マングローブ林の再生に着手しており、2024年までに世界最大の60万ヘクタールの面積を確保することや、インドネシアの炭素排出量の約60%を占める産業部門は2030年までに炭素が減少するようになることを表明した(CNN Indonesia11月2日)。

また、ジョコ大統領は炭素排出量に価格を課す大統領令に署名したこともCOP26で発表した。具体的な内容はまだ公表していないものの、財務省の財政政策庁(BKF)長官フェブリオ・ネイサン・カカリブ氏は「自国が決定する貢献(NDC)や2060年のゼロ排出の達成のために重要なマイルストーンだ」としている(「ジャカルタ・ポスト」紙11月2日)。

COP26に出席したシティ・ヌルバヤ・バカル環境森林相は「インドネシアの改善・コミットメントは、多方面から認められている」とし、2060年までに排出ゼロを達成するという政府目標について、「なるべく早く達成できるよう最善を尽くす」とした(内閣官房11月2日)。

ジョコ大統領のスピーチを受け、持続可能な市民社会財団(Yayasan Madani Berkelanjutan)事務局長のナディア・ハダット氏は「スピーチで語られた目標と一致する開発政策をしっかりと打っていかなければならない」として、目標を達成するための具体的なステップの提示を求めた。また、グリーンピースインドネシアのイクバル・ダマニク氏は、ジョコ大統領が演説で用いた森林火災減少に関する数値について、実際は天候による影響が強いことなどを挙げ、「部分的なデータの切り抜きだ」と非難している(CNN Indonesia11月3日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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