国際標準化団体、気候変動対策で国連との協力に意欲示す

(スイス、英国、世界)

ジュネーブ発

2021年11月09日

英国グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席しているアントニオ・グテーレス国連事務総長は、11月1日に行った演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの中で、企業や団体によるネットゼロに向けた取り組みを測定・分析するための規格提案に取り組む専門家グループの設置を決めたと発表した。各企業や団体が発表する温室効果ガスの排出削減やネットゼロ目標については、言葉の意味や評価基準が異なるため、信頼性が損なわれ、混乱が生じており、言葉の定義や測定方法を統一する必要があるとした。

グテーレス事務総長の発表を受けて、ジュネーブの国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)、国際電気通信連合(ITU)は共同で声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表。グテーレス事務総長が規格の重要性を認識していることを歓迎し、気候変動の分野で国連との協力に強い関心があるとした。また、国際標準化団体の中立かつ独立性が高いコンセンサスベースの標準化枠組みは、国連の気候変動対策にも役立つと述べた。

国際標準化団体は、気候変動対策に貢献する国際規格をこれまで数多く発行してきた。例えば直近では、ISO 14000などを作成する専門委員会ISO/TC 207(環境マネジメント)がグリーンボンドのISO規格外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを作成し、2021年9月に発行した。さらに、現在、注目を集めているタクソノミー(注)の規格外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの開発が進んでいる。

また、ISO、IEC、ITUはそれぞれ、組織としてもネットゼロに向けた戦略づくりと実行に取り組んでいる。

ロンドンで9月に開催されたISO総会では「ロンドン宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が承認され、規格の作成などを通じて気候変動対策へのアプローチを変革し、ネットゼロを達成するための国際的な取り組みを推進していくことを宣言した。同宣言の発表は、ISO総会およびCOP26の開催地である英国規格協会(BSI)が提案したことで実現した。その際、ISOとIECは、事例集「気候行動キット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、政策立案者に向けて気候変動対策を策定するための支援ツールを提供している。また、ITUは、2018年に全加盟193カ国が採択した、2030年までの世界のICT(ブラック ジャック トランプ 無料通信技術)業界の取り組み方針を定めた「コネクト2030アジェンダ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において、2015年の基準値と比較して2023年までに電気通信・ICT関連の温室効果ガスのネット削減量を30%増加させることを目標の1つとして掲げている。

(注)環境的に持続可能な経済活動かどうかを判断する基準。

(小谷由紀子)

(スイス、英国、世界)

ビジネス短信 e2ca91571c8f7528