気候変動対策を促進、COP26の2040年までに新車販売ゼロエミッション化に賛同
(オーストリア)
ウィーン発
2021年11月16日
英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、オーストリアのアレクサンダー・シャレンベルク首相は11月1日、「過去18カ月の新型コロナウイルス危機によって、各国の協力と迅速な対応でしか国際的な危機は克服できないことが明らかになった。気候変動対策の場合も同じだ」と述べ、同国は2040年までにカーボンニュートラル(気候中立)を目指すと強調した。目標達成のための主要な手段として再生可能エネルギーを挙げ、「オーストリアは現在、電力需要の70%を再生可能エネルギーで賄っており、2030年までには100%達成を目標としている。安全でも持続可能でもない原子力は利用しない」とした。
今回、レオノーレ・ゲベッスラー気候行動・環境相(緑の党)は、飛行機を避け、27時間かけて鉄道でグラスゴーに行き、国内外で注目を浴びた。COP26の意義について、ゲベッスラー氏は11月3日、「気候危機への意識向上だ。グラスゴーでやるべきことは、パリ協定の目標実施と国別目標の調整だ。オーストリアを含めた先進国は、開発途上国の気候変動対策を援助すべきだ。オーストリアはそのための行動計画を立てようとしている」と述べた。同氏は中国やロシア、オーストラリアの行動が大幅に遅れたと批判する一方、オーストリアの今までの実績も不十分と認めた。しかし、「緑の党の政権参入によって、オーストリアは気候変動対策に野心的な国となった」とした。
ドイツの環境NGOジャーマンウォッチがCOP26会期中の11月9日に発表した「気候変動パフォーマンスインデックス(CCPI)」(注)で、オーストリアは前年から1つ順位を落とし、「ローパフォーマー」として36位にとどまった。特に、排気(46位)とエネルギー使用(46位)に関する評価が低かった。
オーストリアは11月10日、販売される全ての新車を世界全体で2040年までに電気自動車(EV)などのゼロエミッション車とすることを目指す共同声明に署名した(2021年11月12日記事参照)。
(注)毎年発表される世界60カ国とEUの気候変動対策の状況を分析したランキング。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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