米環境保護庁、石油・天然ガス産業が排出するメタンガスの削減規則案を発表
(米国)
ニューヨーク発
2021年11月04日
米国環境保護庁(EPA)は11月2日、石油・天然ガス産業から排出されるメタンガスを削減する規則案を発表した。同日に、英国グラスゴーで国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の首脳会議が開催され、ジョー・バイデン米国大統領は会議の場で、欧州とともに9月に表明した、2030年までに2020年比でメタンガスを30%減らす取り組みについて()、多くの国の参加を呼び掛けた(バイデン米大統領がCOP26で演説、ブラック)。こうした国際的動きに合わせて、国内規制を強化する。
バイデン政権は2021年7月に、前トランプ政権が廃止したメタン排出規制を復活させていたが(関連ブラック ジャック サイト)、今回は詳細な行動計画として規則案を発表した。具体的には、年間3トン以上のメタンガスを排出する油田・ガス田を対象に合計30万カ所で四半期ごとにメタンガスの漏れがないか点検を要請し、大気中へのメタンガス排出を防ぐ。その他、貯蔵タンクやコンプレッサーからのリークや誤動作がないかなど、点検を定期的に求めることなどが盛り込まれている。
米国の温室効果ガス(GHG)に占めるメタンガスの割合は約10%にとどまるものの、二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果があるとされており、削減による温暖化抑制効果は相対的に大きい。米国のメタンガスのうち、石油・天然ガス産業が排出する割合は3割を占めており、EPAによれば、今回の措置が実現すると、2023~2035年の間に4,100万トンのメタンガス排出が削減され、CO2換算では9億2,000万トンとなり、これは2019年の米国の全ての乗用車と商用航空機から排出されたCO2の量を上回るとしている。また、これにより、2030年には石油・天然ガス産業から排出されるメタンガスは2005年比で74%の削減が見込まれるとしている。EPAは今回の規則案に加えて、2022年中に補足提案を発表し、2022年末までの最終規則化を目指すとしていることから、規則の具体的な実施は2023年になるとみられる。
業界団体の米国石油協会(API)はEPAの今回発表に際して、EPAの規則案を支持するとともに、最終規則の策定を支援していくとの声明を発表しており、歓迎する意向を示している。
(宮野慶太)
(米国)
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