11月29日からマレーシア、フィンランド、スウェーデンとワクチン・トラベルレーン開始

(シンガポール)

シンガポール発

2021年11月09日

シンガポールのリー・シェンロン首相とマレーシアのイスマイル・サブリ首相は11月8日の共同声明で、同月29日から新型コロナウイルスのワクチン接種者を対象に相互に隔離なしの渡航を可能にする「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」を、シンガポールと首都クアラルンプール間の航空旅客を対象に開始すると発表した。両都市間のワクチン・トラベル・パス(VTP、注1)の申請は11月22日から受け付けを開始する。

両国首脳は同8日の電話会談で、両国のワクチン接種と感染への対応で進展がみられたのを受け、2国間の往来を安全なかたちで段階的に再開することで合意した。シンガポールのワクチン接種率は85%(11月6日時点)で、マレーシアのワクチン接種率が75.2%(11月7日時点)。VTLの利用者は、出発48時間前と空港到着時に検査を受け、陰性であれば隔離を必要としない(注2)。

今回のマレーシアとのVTLは、クアラルンプール国際空港(KLIA)とチャンギ空港間の航空便のみが対象で、マレーシア南部ジョホール州とシンガポールを結ぶ2つの橋を通じた陸路での出入国者については対象ではない。両国首都間の航空便は新型コロナウイルスの流行前、1日当たり約40便が運航していた世界でも最も航空便数の多い路線として知られていた。リー首相は、両国間の陸路での往来再開について話し合い中で、「近い将来、ジョホール州との往来についても同様のVTLの開始を期待している」と述べた。

また、S.イスワラン運輸相は同8日の会見で、11月29日からフィンランドとスウェーデンともVTLを開始し、同月22日からVTPの申請の受け付けを開始すると発表した。既にシンガポールは、11月8日からオーストラリアとスイスとVTLを開始し、同月15日からは韓国とVTLを開始する。同月29日からのマレーシア、フィンランド、スウェーデンとのVTLの開始により、VTLの対象が16カ国・地域となる。

同運輸相の発表によると、同月29日からのマレーシア、フィンランド・スウェーデンとのVTLが開始することで、VTLを使った旅客の上限を現行の1日当たり4,000人から6,000人へ引き上げる。6,000人の乗客数は、新型コロナウイルス流行前のチャンギ空港の1日当たりの到着客の約8%に相当する。

(注1)ワクチン・トラベル・パス(VTP)は短期渡航者と就労ビザ保持者が対象で、国民と永住権者については取得の必要がない。

(注2)48時間前の検査は指定医療機関でのPCR検査のほか、11月11日午後11時59分から抗原検査(ART)結果も認められる。チャンギ空港到着時の検査はPCR検査。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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