日米政府、通商協力枠組みを立ち上げ、EUとは3極パートナーシップ刷新で合意

(米国、日本、EU)

ニューヨーク発

2021年11月18日

訪日中のキャサリン・タイ米国通商代表部(USTR)代表は11月17日、萩生田光一経済産業相、松野博一官房長官、林芳正外相とそれぞれ会談を行った。両国政府は「日米通商協力枠組み」の立ち上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、米国、日本、EUの貿易担当閣僚は日米EU3極パートナーシップの刷新を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

「日米通商協力枠組み」は、経済産業省と外務省およびUSTRの間で、通商分野における日米共通のグローバル・アジェンダやインド太平洋地域における協力および日米2国間の通商協力などに関する議論を行う、局長級の枠組みとなる。タイUSTR代表は「強力な2国間通商関係を形成してきた両国間の協力を深める」との声明を出すとともに、最初に注力する協力分野として、第三国に関する懸念、地域・多国間の通商関連枠組み、労働・環境関連の優先課題への対応、万人の支えとなるデジタル・エコシステム、貿易円滑化などを挙げている。声明によると、第1回の会合は2022年初頭を予定している。

なお、萩生田経済産業相は、タイUSTR代表との会談の中で、米国の1962年通商拡大法232条に基づく日本の鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税措置問題を解決すべく協議を進めることや過剰生産能力への対処を確認するとともに、インド太平洋地域への米国のコミットメント、市場歪曲(わいきょく)的措置への対応、WTO閣僚級会合(MC12)に向けた日米間の協力などについて議論したとしている。一方、タイUSTR代表は、林外相との会談の中で、ジョー・バイデン大統領が進めるインド太平洋経済枠組みに焦点を当てるとともに、日本による米国産牛肉輸入に対するセーフガードに関する協議の速やかで前向きな解決に期待を示したとしている。米国によるインド太平洋経済枠組みに関しては、具体的な構想は発表されていないが、タイUSTR代表に先立って訪日したジーナ・レモンド商務長官は、伝統的な自由貿易協定を超える枠組みになり得るとし、対象分野には半導体やデジタル経済、クリーンエネルギーなども含まれる可能性があると発言している。レモンド長官は、その後の訪問地のシンガポールで、同枠組みの正式なプロセスは2022年初頭に開始する見込みと明かしている(通商専門誌「インサイドUSトレード」11月15、17日)。

日米EU3極貿易相会合については、萩生田経済産業相、タイUSTR代表、バルディス・ドムブロフスキス欧州委員会上級副委員長の共同声明のかたちで、「第三国による非市場的政策および慣行がもたらすグローバルな課題に取り組むため、3極パートナーシップを刷新することに合意した」とし、今後数週間のうちに作業を再開し、MC12のマージンで対面会合を開催することを目指すとしている。

(磯部真一)

(米国、日本、EU)

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