「グラスゴー気候合意」採択しCOP26閉幕、石炭の段階的削減へ
(英国、世界)
ロンドン発
2021年11月16日
英国グラスゴーで10月31日から開催されていた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は11月13日、会期を1日延長して成果文書「グラスゴー気候合意」を採択し閉幕した。
同合意では、世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度以内に抑える努力を追求することが盛り込まれた。最大の争点となった石炭火力発電(注1)では、合意文書案の「段階的廃止(phase-out)」の表現に対し、インド、中国が反対し、「段階的に削減(phasedown)」と表現を弱めるかたちでの合意となった。なお、非効率な化石燃料への補助金は「段階的に廃止(phase-out)」と明記された。
また、同合意では、全ての国は2022年に2030年までの排出目標(国が決定する貢献:NDC)を再検討し、強化することに合意。さらに、パリ協定の実施指針(ルールブック)についても、未決定要素だった同協定6条(市場メカニズム)に関する基本的な基準について合意に達し、これによってパリ協定が完全に運用されることとなった。同合意は、2020年までに先進国が開発途上国へ年間1,000億ドルを共同で動員するという目標については、達成されていないことに深い遺憾の意を表すとし、先進国は早急にかつ2025年までに達成するよう求めるとした。
アロック・シャルマCOP26議長は「気温上昇1.5度以内の目標を守ったと自信を持って言える。しかし、私たちが約束を守り、迅速な行動に移さなければならない」「ここから先、私たちはともに前進し、『グラスゴー気候合意』で定められた期待を実現し、残された大きなギャップを埋めていかなければならない」「気温上昇を1.5度以内にするという目標を維持し、資金を調達して適応を促進するための努力を続けることは、私たち全員にかかっている」として、今後の各国の行動の重要性を強調した。
ボリス・ジョンソン英首相は同日にコメントとして、「今後数年間、やるべきことはまだ山ほどある。しかし、この合意は大きな前進であり、重要なのは、石炭を段階的に削減するという史上初の国際合意と、地球温暖化を1.5度に抑えるためのロードマップができたことだ。COP26が気候変動の終わりの始まりとして振り返られることを願い、私もその目標に向けて精力的に活動を続ける」と述べた。
2022年のCOP27はエジプト、2023年のCOP28はアラブ首長国連邦(UAE)で開催が予定されている。
(英国、世界)
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