反汚職掲げた新党が議会選挙で勝利、ラデフ大統領が再選

(ブルガリア)

ウィーン発

2021年11月26日

ブルガリアで11月14日、今年3回目となる議会選挙が行われ(投票率40.23%)、9月に設立されたばかりの反汚職を掲げた新党「私たちは変化を続ける(PP)」が得票率25.67%で第1党になった(添付資料表参照)。2006年~2013年と2014年以降に与党だった中道右派の「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」は22.74%で第2党だった。7月の選挙で第1党になったポピュリストの「There is Such a People(ITN)」は大幅に票を落とし、9.52%で第5党に転落した。先の2回の選挙では安定した連立政権が組めず3度目の選挙となったが、今回はPPを中心とした安定した連立政権の樹立が期待されている。

新党の「私たちは変化を続ける(PP)」は、9月にハーバード大学卒の元ビジネスマンのキリル・ペトコフ氏とアセン・バシレフ氏によって、汚職と闘う目的で設立された。2021年5月に発足した第1次ステファン・ヤネフ暫定内閣では、ペトコフ氏が経済相、バシレフ氏は財務相を務めた。

今回の選挙結果を受けて、ペトコフ党首は、汚職が多いといわれているGERBと「権利と自由のための運動(MRF)」を除外する連立政権を組む意思を示したと報じられた(11月16日「Dariknews」)。連立候補としては「ブルガリア社会党(BSP)」「民主主義的ブルガリア(DB)」とITNがある。これら3党との連立交渉は11月23日に始まった(11月23日「Dariknews」)。

議会選挙と同時に、大統領選挙も行われ、現職のルーメン・ラデフ大統領が得票率49.42%を獲得したが、過半数に満たなかったため、1週間後の21日に2位のアナスタス・ゲルジコフ氏との決選投票となった。その結果、ラデフ大統領は大差(66.72%対31.80%)で当選した。決戦投票の投票率(34.84%)は過去最低レベルと報じられた。

ラデフ大統領はPPを後ろ盾にしているため、PPを中心とする連立政権が発足すれば、政府が汚職対策や法制改革など必要な改革を安定的に実施できることが期待されている。

(ブラディミール・カネフ、エッカート・デアシュミット)

(ブルガリア)

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