2041年にガソリン車の新車販売を禁止、自動車産業の転換を目指す
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2021年11月05日
アルゼンチン政府は10月12日、ガソリンエンジンなど内燃機関を動力源とする新車の販売を2041年から禁止し、電気自動車など持続可能なエネルギーを動力源とする自動車や、よりコンパクトな超小型モビリティの研究・開発、製造、流通を推進するための「持続可能なモビリティ促進法案」の内容を明らかにした。連邦政府はまた、持続可能なモビリティの導入目標を設け、2040年末までに導入率100%を目指す。今後、法案が国会に提出され審議される見通しだ。
政府は、同法案の目的として、環境面、経済面、戦略面の3つを挙げている。環境面は、世界的な潮流となっている気候変動への取り組みだ。政府によると、持続可能なモビリティの推進により2030年までに1,070万トンの二酸化炭素(CO2)の排出を抑制できる。経済面では、輸入部品に依存している自動車産業の転換、新市場への輸出拡大、リチウム電池の用途拡大、ビッグデータや人工知能を活用した輸送管理など新技術の普及を通じた機会の創出に期待している。戦略面では、いち早く方針を打ち出すことでアルゼンチンを中南米における持続可能なモビリティのプラットフォームに位置付ける狙いがある。
同法案はまた、持続可能なエネルギーを動力源とする乗用車、商用車、トラック・バス、超小型モビリティなどを推進するため、税制優遇措置も設ける。「特別グリーン税額控除」を導入し、車両本体および充電器など補助機器を購入した場合、法人税などから一定額を税額控除できるようにする。
優遇措置は、法律の発効から20年有効だ。その他、国内での関連技術の研究・開発支援を担う国家持続可能モビリティ庁、各種優遇措置の財源となる持続可能モビリティ信託基金(FODEMS)を設置する。
政府が描く2030年までの経済効果は、自動車製造会社で1万2,500人の雇用創出(現状は7万人)と50億ドルの新規投資、自動車部品会社で6,000人の雇用創出と15億ドルの新規投資、電池製造会社で2,500人の雇用創出と18億ドルの新規投資、全体で50億ドルの新規輸出となっている。野心的なイニシアチブに今後に注目が集まる。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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