バイデン米大統領、ガソリン市場の違法行為の調査を連邦取引委員会に要請
(米国)
ニューヨーク発
2021年11月19日
ジョー・バイデン米国大統領は11月17日、石油ガス企業によるガソリン価格操作などの違法行為がないか、ガソリン市場の監視と調査を行うよう要請する書簡を連邦取引委員会(FTC)に送ったと発表した(添付資料参照)。ホワイトハウスは8月にも、同じ趣旨の書簡を国家経済会議(NEC)のブライアン・ディーズ議長名でFTCに送っており、FTCも監督を強化すると表明していたが(関連ブラック ジャック 無料、9月2日記事参照)、衰えぬガソリン価格の上昇にバイデン大統領自ら要請したかたちとなった。
書簡では、FTCのガソリン市場監督強化以降も小売価格の上昇は継続しており、特に足元の1カ月間では、未精製のガソリン価格は5%以上下落しているにもかかわらず、ガソリンの小売価格は3%上昇しており、不可解なギャップが見られると指摘。具体的な名指しはないものの、2大石油・ガス会社の利益は新型コロナウイルス感染前と比べて約2倍になっていると指摘した上で、「私は、反競争的またはそのほかの潜在的違法行為によって勤勉な米国人がガソリンにより多く払わされることを許さない」として、カルテルなどの違法行為の疑いを強く示唆した。
ガソリン価格の高騰により、国内では緊急用の石油の戦略備蓄を市場に放出する案が取りざたされている(2021年11月12日記事参照)。民主党上院院内総務のチャック・シューマー議員(ニューヨーク州)は「国の戦略備蓄からの燃料販売を承認するようバイデン政権に求めている」とコメントした(ブルームバーグ11月14日)。一方、民主党下院院内総務のステニー・ホイヤー議員(ニューヨーク州)は「戦略備蓄は価格上昇時ではなく、(原油生産地域の)中東の混乱で実質的に供給が遮断された場合といった緊急時の備えであって、(放出には)同意できない」とコメントし(ロイター11月16日)、与党民主党内でも同案に対する評価が分かれているなど、いまだ流動的な状況だ。また、公式発表はないものの、一部報道では、ホワイトハウスが日中韓インドの4カ国に対し、各国が保有する石油の戦略備蓄の放出を検討するよう要請したとの報道もあり(ロイター11月17日)、ガソリンなどのエネルギー価格抑制策に関する国際協調に発展する可能性も出てきている。
(宮野慶太)
(米国)
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