米税関、強制労働による輸入を差し止め、マレーシア産の手袋

(米国、マレーシア)

ニューヨーク発

2021年11月09日

米国税関国境保護局(CBP)は11月4日、強制労働を特定したとして、マレーシアで使い捨て用手袋の製造を行うスマート・グローブに対する違反商品保留命令(WRO)を発令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日から、同社および関連子会社からの輸入は差し止め対象となる。

スマート・グローブは、製造現場で強制労働に依拠した生産を行い、ILO指標PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の全11項目中7項目に抵触していたとされる(注)。CBPは、2021年9月にマレーシアで手袋を製造する別会社へのWROを撤回したが、10月には同国同業の異なる企業に新たなWROを出すなど、最近マレーシアへの対応が目立つ(関連ブラック ジャック カード)。マレーシアについては、パーム油・同製品の製造企業にもWROが出されており、労働省が作成する製品リストでは、同国内の電子機器と衣料品分野にも強制労働の懸念が指摘されている。

CBPのトロイ・ミラー局長代行は「われわれは、非人道的な慣習を米国のサプライチェーンから根絶しようとしており、スマート・グローブのように法律を順守しない製造者は報いを受ける」とコメントしている。

(注)CBPは、1930年関税法307条に基づき、強制労働に依拠した製品の輸入を差し止める権限を有する。米国における人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、人権侵害に対する施策が日系企業にも影響(米国)参照。

(藪恭兵)

(米国、マレーシア)

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