チュニジア史上初の女性首相による新内閣誕生

(チュニジア)

パリ発

2021年10月15日

チュニジアのカイス・サイード大統領は9月29日、ヒシェム・ムシーシ前首相を緊急事態における大統領の特別措置によって解任してから約2カ月間空席が続いていた首相の席に、チュニス国立工科大学教授のナジュラ・ブーデン=ラマダーン氏を任命し、組閣を委任した。

チュニジア史上初の女性首相となるブーデン氏は10月11日、新内閣のメンバー25人を発表した。7月25日に緊急事態における大統領の特別措置が発表されて以来、議会による内閣の承認が省かれているため、サイード大統領はブーデン=ラマダーン首相および閣僚の任命に関する大統領令に署名し、大統領府で任命式を行った(添付資料表、閣僚名簿参照)。24大臣、1担当大臣からなる25人の閣僚のうち、9人が女性で、首相を含む全閣僚が政党には所属しておらず、多くのテクノクラートが起用された。前内閣から留任した外相と教育相は、7月25日にサイード大統領が行政の執行権を掌握した後、大臣代行に就任していた。また、ムシーシ前首相が解任した法相、内相、青少年・スポーツ相は今回再入閣をしており、新内閣の閣僚にはサイード大統領に近い人物が選ばれているといわれる。

大統領反対派によるデモも活発化

7月25日に発表した緊急事態における特別措置()の再延長と、新たな措置を加えた9月22日の大統領令により、大統領への権力の集中が顕著になったことで()、当初目立っていた大統領支持派のデモに代わって、大統領への権力集中に反対する街頭デモが各地で活発になった。組閣発表前日の10月10日には首都チュニスで少なくとも6,000人がデモに参加した。

組閣後、ブーデン=ラマダーン新首相は所信表明演説で、政府の主要課題に汚職対策を挙げ、政府の行動は国家への信頼と市民自身の能力への信頼を回復することに基づくとし、法の下の平等な権利を保障してはじめて達成されると述べた。さらに、緊急課題である経済回復の実現には、若者と地方のイニシアティブをとる必要があることを強調した。

ブーデン=ラマダーン氏は1958年生まれで、パリ国立高等鉱業学校で地質学博士号を取得後、チュニス国立工科大学の教授を務めていた。2016年から高等教育・科学研究省において、高等教育改革計画の責任者も兼任していた。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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