保守党の党大会で、ジョンソン首相が演説
(英国)
ロンドン発
2021年10月12日
英国で10月3~6日、保守党の党大会がリアルとオンラインのハイブリッドで開催され、最終日の6日にはボリス・ジョンソン首相が演説した。
「新型コロナウイルス」に関しては、国営医療サービス(NHS)への負担が大きかったことを踏まえ、病院とソーシャルケア施設の間で患者記録を電子上でやり取りするための新技術を導入する考えを示した。また、経済についてはワクチンの迅速な展開によりG7諸国の中でも最も早い経済成長を達成しているほか、失業率の改善、需要の増加などもみられ、新型コロナウイルス感染拡大前よりも速いペースで賃金が上昇しているとした。また、移民を管理し、才能ある人々を英国に呼び込むことで、以前のような低賃金の社会には戻らないとした。
一方で、先進国の中でも最も格差の大きい社会を有する、経済力の偏った国であることにも言及。地域活性化政策を通じ、英国全体の強化を図るとした。その一環として、道路や大容量ブロードバンドなどのインフラの整備、教育への投資などを挙げた。
また、民間投資の重要性も強調し、ワクチンの迅速な開発やネットゼロに向けた風力タービンを例に挙げ、オックスフォード大や政府の力に加えて企業の投資が不可欠だったとした。
フリーポートなどEU離脱のメリットにも触れ、科学技術の超大国という目標達成に向け、不要なEU規制の廃止に加え、英国独自の規制を制定していくと強調した。また、米国・オーストラリアとの安全保障協力枠組み「AUKUS」にも言及、「グローバルブリテンを行動で示した最も良い例」とした。
新外相は安保、経済面での関係強化に言及
党大会では、各閣僚も演説を行った。新たに外相に就任したエリザベス・トラス氏は、日本を含む友好国や同盟国との安全保障面、経済面での関係強化について言及。中国に関しては、貿易の重要性は認めながらも、知的財産権の侵害や技術移転の強制は防がなければならないとした。
リシ・スーナック財務相は、新型コロナウイルスの影響により政府債務が増加していることを踏まえ、「増税が不人気なことは理解している」としながらも、財政が持続可能な水準になるまで減税はできないとした。一方で、政府にとっては「雇用」が重要だとし、新型コロナウイルスの影響で導入した若者向けの雇用対策の期限延長も発表した(2021年10月11日記事参照)。
(山田恭之)
(英国)
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