欧州での2030年までの車載用蓄電池生産予測、専門会議が中間報告書発表

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年10月26日

ドイツ連邦政府主導の専門家会議「国家プラットフォーム 未来のモビリティ(NPM)」(2019年4月10日記事参照)に属する6つのワーキンググループ(WG)のうち、WG4「蓄電池や資源などの確保と人材開発などによる生産拠点の保持」は10月21日、欧州(注)における車載用蓄電池の生産を予測した中間報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。

具体的には、同報告書は、欧州における2030年までの車載用蓄電池の需要と供給の推移を予測した。その結果、欧州では2024年以降は蓄電池需要を満たすだけの生産が見込めるとし、それまでは輸入に頼ることになるとした(添付資料表参照)。報告書によると、2021年の時点で、欧州は蓄電池セル需要の約3分の2を輸入に頼っているという。

車載用蓄電池の需要予測に当たり、WG4は、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド(PHEV)の欧州における生産が、2025年に507万5,000台(自動車生産台数全体の29%)、2030年に1,008万台(56%)になるとの前提を置いた。ドイツ国内での生産は2025年に214万5,000台(39%)、2030年429万4,000台(76%)とする。また、商用車向け蓄電池は、2030年までに乗用車向け需要の1割まで拡大するとした。

報告書は、蓄電池生産に携わるドイツメーカーについて、蓄電池セル生産のプロセスの一部では競争力を有するものの、アジアの競合他社に比べてターンキー方式(一括請負方式)の総合提案力が足りない点を指摘した。蓄電池分野におけるドイツ全体の競争力維持・向上のため、大学・研究機関、行政、企業など関係者の協力が必要としている。

また、報告書は、欧州およびドイツにおける蓄電生産能力の構築は、個別企業の部品調達の上で重要なだけではなく、新たな競争力、雇用確保のために重要と指摘している。ドイツ連邦政府はEUの例外的な国家補助の枠組みを活用し、蓄電池分野の個別企業支援を進めている(EU蓄電池プロブラック)。

(注)EU加盟国および英国。

(高塚一)

(ドイツ)

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