新型コロナ対策、職場でもワクチン接種証明などを義務付け
(オーストリア)
ウィーン発
2021年10月25日
オーストリアでは、議会上院が伝染病法と新型コロナウイルス対策法の改正案を10月21日に承認したことにより、職場での3G規則(ワクチン接種証明、回復証明、各種検査による陰性証明、のいずれかの提示義務付け)が導入されることとなった。改正は、保健省令の法的な根拠として必要だった。下院では13日に連立与党の過半数で可決されたが、上院では野党が過半数を占めるため、社民党の同意も必要だった。社民党は賛成の条件として、職場内の新型コロナウイルス検査が11月1日以降も引き続き無料で実施するよう、与党に対し要求していた。
職場における3G規則適用の詳細を決める法令は、保健省が準備中で、10月25日以降に公表・発効する予定。保健省の発表によると、新省令は以下の内容になる。
- 11月1日から、「他人との接触の可能性がある」職場で、従業員は3G証明の提示が義務付けられる。証明としては、ワクチン接種証明、回復証明、各種検査による陰性証明(抗原検査は24時間以内、PCR検査は72時間以内が有効)、のいずれかが認められる。
- トラック運転手などの単独勤務や、在宅勤務の場合は例外となる。
- 11月14日まで移行期間を設け、この期間中は、証明の提示ができない場合には、医療用(FFP2)マスクを着用する義務がある。
- 雇用主と従業員はそれぞれ、3G規則を順守する責任がある。
- 従業員は3G証明の提示によって職場でのマスク着用義務がなくなる(ただし、高齢者施設、介護施設、病院は除く)。
政府は、職場での3G規則の義務付けで、国民のワクチン接種率引き上げを目標にしている。10月24日時点で、国民の63.7%(約569万人)が2回のワクチン接種を完了しているが、ここ数週間で1日当たりの新規接種者数は大幅に減っている。一方、10月23日の新型コロナウイルスの新規感染者数は3,477人と依然として多く、227人が集中治療室に入院している。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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