ヘルスケア・バイオテクノロジー・バレー確立に向けたプラットフォーム始動
(ベルギー)
ブリュッセル発
2021年10月28日
ベルギー連邦政府は10月26日、バイオ医薬品分野の研究・開発と生産のさらなる競争力強化に向けて、産官学連携のためのプラットフォームに関する共同憲章に署名したと発表した。連邦政府は世界のバイオ医薬品産業の研究や臨床試験、生産活動を誘致し、「ヘルスケア・バイオテクノロジー・バレー」としてのベルギーの地位を強化することを目標にしており、共同憲章はベルギーのバイオ医薬品産業の現状分析報告書を踏まえて策定された。ベルギーの製薬大手UCBや、ベルギーでワクチンを開発・製造する英国グラクソ・スミスクライン、米国のファイザーとジョンソン・エンド・ジョンソンなどの団体・企業が共同憲章に署名した。今後6カ月間で報告書で取りまとめた提言を実現させるための行動と、イノベーションの促進や経済的魅力の向上、人材育成に向けた具体的な政策について協議を行う。特に、業界が必要とする能力を備えた人材の育成が課題の1つとして挙がっている。
アレクサンドル・ド・クロー首相は同日、「変化と競争が激化する国際環境の中で、われわれはエコシステムを強化し、欧州の中心に位置する将来の『ヘルスケア・バイオテクノロジー・バレー』としての地位を確立するための長期的な戦略を持つ必要がある」と述べた。
今回の発表に同席した欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、今回のベルギーのバイオ医薬品産業プラットフォーム立ち上げを歓迎し、同国が昨今の新型コロナウイルスに対するワクチンキャンペーンで、メッセンジャーRNAワクチンの量産や臨床試験、輸出などで重要な役割を果たしていると評価した。
連邦政府によると、ベルギーはこれまでに7億回分の新型コロナウイルスワクチンを生産し、全世界に輸出している。また、同国のバイオ医薬品の年間輸出額は560億ユーロに上り、世界で第3位の輸出国となっている。バイオ医薬品産業は国内で4万人以上を直接雇用し、間接的にはさらに多くの雇用者を抱える重要な産業となっている。
(大中登紀子)
(ベルギー)
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