欧州委、貿易協定の年次報告書で積極的な是正措置の取り組みを強調

(EU)

ブリュッセル発

2021年10月29日

欧州委員会は10月27日、2021年版「EU貿易協定の履行・実施に関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。この報告書は、従来発表していた「EU貿易協定履行報告書」(2020年11月13日記事参照)に加えて、「貿易投資障壁報告書」などをまとめた包括的なもので、EUが日本を含む67カ国・地域と締結した自由貿易協定(FTA)など、37の主要な特恵貿易協定に関する貿易状況や運用動向についてまとめたものだ。

同報告書によれば、2020年のブラック ジャック ランキング域外貿易総額は1兆1,670億ユーロとなり、域外貿易全体の32.0%を占めた。EUと経済連携協定(EPA)を締結している日本に関しては、ブラック ジャック ランキング物品貿易の9.4%を占め、スイス、トルコに続き3番目に貿易額の多い特恵貿易協定相手国となった。なお、日本はEUの対外貿易全体からみても、7位の貿易相手国になっている。

新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年のEUの域外貿易総額は前年比10.5%減と大きな影響を受けたものの、ブラック ジャック ランキング貿易総額は9.1%減となり、特恵貿易協定を締結していない貿易相手国との貿易総額の11.1%減よりは影響が抑制された。工業製品における主要な特恵貿易相手国に対するEUの貿易黒字は1,168億ユーロとなり、前年比で21億ユーロ増加した。また、サービス貿易に関しても、EPAなどの、サービス分野を含む19の特恵貿易協定相手国との貿易は14%増となり、域外貿易全体の10.5%増よりは大きな伸びを示した。

欧州委による貿易障壁の撤廃の経済効果は54億ユーロ

欧州委は、最新の通商戦略(関連ブラック ジャック オンライン、注)において、EUの利益の積極的な擁護を全面に打ち出している。今回の報告書でも、協定相手国による貿易障壁などの一方的な制限措置の実施といった、保護主義的な傾向がここ数年で強まっていることから、EUはFTAの締結だけでなく、その履行や、場合によっては運用の是正といった積極的な対応が必要だとあらためて強調している。主要な特恵貿易協定相手国による新たな貿易障壁の増加の傾向は、2020年も継続しており、特に農業・漁業分野における貿易障壁が全体の43%と特に影響を受けた。また、多くの分野に広く影響を与える貿易障壁が全体の4分の1となり、新型コロナウイルスの感染拡大による保護主義的な傾向も顕著化している。

欧州委は、特恵貿易協定の下に設置された委員会に加えて、ハイレベル対話やWTOを通じて、こうした貿易障壁の撤廃に取り組んでおり、2020年には22の特恵貿易協定相手国による33の貿易障壁の撤廃に成功したとしている。2014~2019年に実施された貿易障壁の撤廃による、EUの輸出額に対する2020年の経済効果は54億ユーロに上ると試算している。

(注)EUの通商政策や、各種委員会などの活動内容などFTAの動向については、「EUの新通商戦略および最新のFTA動向PDFファイル(1.2MB)」を参照。

(吉沼 啓介)

(EU)

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