トルコ、9月の消費者物価は19.6%の上昇
(トルコ)
イスタンブール発
2021年10月07日
トルコ統計機構(TUIK)の発表(10月4日)によると、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率はほぼ市場予測どおりの前年同月比19.58%となり、前月の19.25%からさらに上昇した。他方、国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率は、43.96%上昇で前月の45.52%からわずかに緩和した。
9月のCPIは前月比では1.25%の上昇で、世界的にみられたエネルギー(前年同月比22.77%)およびサービス部門(15.06%)の上昇が著しかった。
サービス部門では、通信を除くホテル・レストラン、教育関連を中心にその他のサービス、運輸、賃貸の全てが2桁の上昇になった。最大の構成比を占める食品・飲料は、上昇が続いているものの、ほぼ前月並みの28.79%だった。耐久消費財、衣料品・靴の価格上昇が落ち着き、主要商品の伸びは、前月の20.28%から19.38%に抑えられた。
D-PPI上昇率は、通貨リラ下落の影響に加え、エネルギーなど国際商品価格の上昇傾向が続いており、前年同月比43.96%となった。前月の45.52%からわずかに改善をみせているが、なお高水準にあり、コストプッシュ圧力は強いままだ。
トルコ中央銀行は9月23日、政策金利を19%から18%に引き下げた。政策金利がCPIを下回ることはないとしていた中銀のカウジュオール総裁は、この利下げに先立って政策金利の基準をCPIからコア指数に変更すると発表しており、利下げそのものは予想されていたが100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)は予想以上だった。翌24日にはトルコ・リラは対ドルで8.85リラに下落するなど記録を更新した。コア指数はCPI算出からエネルギー、食品、飲料(アルコール飲料を含む)、たばこ、金を除いたもので、8月段階で16.76%、9月は16.98%の上昇だった。このため、10月21日に予定されている金融政策委員会(MPC)会議ではさらに100bpの利下げの余地がある。
なお、TUIKの発表と同時に発表された独立調査機関のENAグループの調査によると、9月のCPIは前年同期比で44.70%の上昇で、政府発表と著しく乖離している。9月に発表された政府の中期経済計画では、2021年末のインフレ目標は16.2%となっている。
(中島敏博)
(トルコ)
ビジネス短信 41a2ac741b0a10fe