ブランデンブルク州に欧州初の蓄電池用水酸化リチウム工場を建設
(ドイツ、カナダ)
ベルリン発
2021年10月18日
カナダのロック・テック・リチウムは10月11日、欧州で初となるバッテリー向けの高純度水酸化リチウムの製造工場を、ポーランド国境に近いドイツ東部ブランデンブルク州グーベン市に設立する計画を発表した。
水酸化リチウムは、電気自動車(EV)などで使用される蓄電池の正極材の材料として使われる。欧州委員会によれば、今後、EVや蓄電施設の普及・拡大に伴い、2020年比で2030年には18倍、2050年には60倍のリチウムが必要になるという。ブランデンブルク州には、ドイツ総合化学メーカーBASFの蓄電池用正極材の製造工場(関連ブラック クイーン ブラック)や、米国テスラのEV工場および蓄電池のギガファクトリー(関連ブラック ジャック 遊び方)が建設中で、同州はEモビリティ(注1)製造の拠点となりつつある。
同社は今後、グーベン市に12ヘクタールの土地を約113万ユーロで取得し、年間でEV50万台分の需要に相当する2万4,000トンのリチウム生産能力を構築、総投資額は4億7,000万ユーロを見込む。ここでの新規雇用は160人程度となるもよう。現在、規制当局による承認および地域のステークホルダーとの調整の段階にあり、事業の開始は2024年を予定している。
なお、同工場で利用するリチウム鉱石は、同社がカナダのオンタリオ州ジョージア湖周辺に所有する採鉱地から調達する予定だ。また将来的には、同社は廃棄バッテリーからのリサイクルによるリチウムのクローズドループ(注2)の構築を目指しており、2030年までには使用する原材料の約50%を使用済みバッテリーのリサイクルから取得する予定。
グーベン市のフレッド・マーロ市長は「この産業地域の拡張計画への投資企業をこれだけ早期に呼び込むことができことは、当市の大いなるポテンシャルを示している」と評価した。
(注1)電気を動力とする移動手段もしくは自動車のこと。
(注2)使用済みの製品から使える部分を取り出し、再利用する循環型の生産システム。
(田中将吾)
(ドイツ、カナダ)
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