エジプトで世界最大の下水処理施設が開所
(エジプト)
カイロ発
2021年10月04日
エジプトで9月27日、ポートサイード近郊のバフル・アル・バクル(Bahr al-Baqar)に建設された下水処理場の開所式が行われた。稼働した際の1日の汚水処理能力は1日当たり560万立方メートルで、世界最大となる。同式典には、アブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領も出席した。
式典では、モスタファ・マドゥーリー首相が冒頭あいさつを行い、大型下水処理場は、2011年の革命以降、反政府勢力との戦場となっていたシナイ半島の安定を象徴するもので、同地域の経済開発、安全保障の面でも大きな意味を持つと述べた。エジプトは現在、ナイル川上流で巨大ダムを建設したエチオピアとの間で、水資源の利用をめぐる係争が続いているが()、人口増や農業用水不足に備えた海水淡水化や下水処理による新たな水資源確保に取り組む姿勢も国民に示した格好だ。
首相はまた、建設と今後の施設運営を行う地元ゼネコンのオラスコムコンストラクションおよびアラブコントラクターを評価した上で、陸軍エンジニアリング部隊の後押しによって、歴史的大規模工事が2年間という短期間で完了したことを称賛した。エジプトでは公共工事に、大統領やその意向を受けた国軍が関与することが増えている。
式典の終了後、エルシーシ大統領は本施設内を視察。日本の酉島製作所が手掛けた大型ポンプ4基の前でも説明に耳を傾けた。同社は2021年2月にエルシーシ大統領に招かれ、カイロの大統領府で当初予定どおりの完成に向けた協力を求められた企業の1つだ。日本企業は品質の高さに加え、豊富な実績、納期順守の姿勢が評価されており、地方の経済開発を急速に進めたい政府の意向と合致することで、さらなる受注が進みそうだ。
(福山豊和)
(エジプト)
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