政府が「ウィズ・コロナ」に向けた新基準発表

(ベトナム)

ハノイ発

2021年10月19日

ベトナム政府は10月11日、新型コロナウイルス感染対策の新基準を盛り込んだ政府決議128号(128/NQ-CP)を発出した。これまで全国的に適用してきた厳格な社会隔離措置を見直し(注1)、「ウィズ・コロナ」期のニューノーマル(新常態)に向けて、新たに感染リスクの評価基準と適用措置を示した。

今回の政府決議では、各省・市の人民委員会が各行政区の感染リスクを4つのレベル(リスクが低い順にグリーン、イエロー、オレンジ、レッド)に分ける。この評価基準は(1)感染割合、(2)ワクチン接種率、(3)医療体制の3つの指標に基づく。保健省が13日に公表したガイドラインによると、感染割合は、人口10万人当たりの1週間の新規市中感染者数、ワクチン接種率は18歳以上の1回目接種率が70%以上か否かで判断する(添付資料表1参照)。医療体制は医療施設や集中治療室(ICU)の確保状況に応じた判断となる。

物流や生産は感染リスク下でも止めない方針

政府決議128 号は、感染リスクのレベル別に、事業活動の実施可否を規定した(添付資料表2参照)。貨物輸送はレベルを問わずに事業継続が可能となる(注2)。生産や建設は、各社が感染対策の計画を立てて実施する責任を負うことで、どのレベルでも活動を継続できる。

事業活動の中には、各省・市の人民委員会に一部の条件付けを委ねるものや、具体的な運用が不明瞭なものもある。それでも、新基準によって、各地で突発的に極端な制限措置が適用される事態を抑制することが期待される。各省・市がレベルを引き上げる際には、48時間前までに発表する必要がある。

同決議を受け、各省・市では感染リスクの評価を進めている。10月19日付のVNエクスプレスの報道によると、10月19日午前時点で、63省・市のうち20省・市が感染リスクの低いレベル1(グリーン)、20省・市がレベル2(イエロー)に該当すると発表した(添付資料表3参照)。ハノイ市は感染割合とワクチン接種率ではグリーンの条件を満たすが、医療体制の評価が明らかでないため、現時点でレベルの判断はされていない。ホーチミン市は感染割合がレベル3(オレンジ)に相当するとみられるが、公式発表には至っていない。

(注1)政府決議128 号の発出を受け、新型コロナウイルス感染対策の厳格な社会隔離措置を要請する首相指示16 号(16/CT-TTg)、1段階緩い首相指示15 号などの適用はいったん停止となった。

(注2)バイクによる貨物輸送は、レベル4(レッド)下では必要に応じて各省・市の人民委員会が車両数を制限する。

(庄浩充)

(ベトナム)

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