ポルシェ、アジアの成長を見越し生産・研究開発拠点を整備

(ドイツ、マレーシア、中国)

ミュンヘン発

2021年09月07日

ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェは8月30日、マレーシアにアジアで初となる組み立て工場を設立すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。併せて、2022年に中国の上海に研究開発拠点を開設することも発表した。いずれもアジアのさらなる成長を見据えた動きとしている。

マレーシアの組み立て工場は、10年来の提携関係にある現地の複合企業サイム・ダービー・ベルハッド(Sime Darby Berhad)と建設する。同工場ではマレーシア市場向け車両を2022年から生産する予定。ポルシェのデトレフ・フォン・プラテン取締役(販売・マーケティング担当)は「ポルシェにとって、マレーシアとASEANの重要性はさらに高まっている」とコメントしている。「フランクフルター・アルゲマイネ」紙(8月30日)は、ポルシェがマレーシアに工場を建設する理由として、高い輸入関税を挙げている。

ポルシェの2020年の生産台数は全世界で26万3,236台。ドイツ国内での生産は、本社があるドイツ南西部ツフェンハウゼン工場で4万7,617台(18.1%)、東部のライプチヒ工場で10万1,298台(38.5%)などとなっている。国外では、スロバキアにあるVWのブラチスラバ工場でモデル・カイエンを8万2,137台(31.2%)生産した。マレーシアの工場が稼働すれば、アジアで初の組み立て工場となる。

また、ポルシェによると、中国の研究開発拠点は上海に置き、2022年に活動を開始する。目的は、最大市場の中国の顧客の要望をさらに取り込み、早期に開発に反映するため。「フランクフルター・アルゲマイネ」紙(同上)によると、同拠点の従業員は当面約15人で、コネクティビティー、自動運転、車両用デジタルサービス分野を中心に研究開発を進めていくという。

ポルシェの2020年の販売台数は全世界で27万2,162台。うち中国は前年比3%増の8万8,968台(シェア32.7%)で、6年連続で世界最大の市場となった。同社のオリバー・ブルーメ取締役会会長は「中国はとてもダイナミックで、顧客の要求が特殊な市場。これらの要求に最大限応えたい」としている。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ、マレーシア、中国)

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