OECD、世界経済見通しを改定、依然として回復は不均一

(世界)

国際経済課

2021年09月22日

OECDは9月21日、「エコノミックアウトルック(経済見通し)中間報告」〔プレスリリース(英語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます日本語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕を発表した。2021年の世界の経済成長率(実質GDP伸び率)を5.7%、2022年を4.5%とした(添付資料表参照)。前回(2021年5月)の見通し()と比較すると、2021年を0.1ポイント下方に、2022年を0.1ポイント上方に修正。OECDは、前回と「ほぼ同水準」と評した。

OECDはプレスリリースの冒頭で、世界経済の回復は「依然として不均一で、先進国、新興国双方の市場がさまざまなリスクにさらされている」とし、「国によってワクチン接種率に大きな差があることが、回復が不均一な一因」と指摘。報告書の中では、ベースラインの見通しについて、「(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの進展、ワクチンの接種ペースと世界的な普及、および全ての国の(経済活動の)段階的な再開といった諸条件に基づく」と説明。その上で、「リスクが1年前と比較し、より均衡を保てているものの、重大な不確実性が残っている」と言及した。

見通しが上振れるシナリオとして、全世界での効果的なワクチンの展開が(想定よりも)速くなると、消費者と企業のマインドと支出が上向き、家計貯蓄率の低下を促すケースを挙げた。この場合、2022年の世界のGDP伸び率は大幅に上昇し、6%を超えると試算した。ただし、需要の高まりはインフレ上昇圧力になると指摘。この結果、金融政策の正常化に向けて早期に動き出すという金融市場の期待を高め、一部の新興国に困難をもたらす可能性もあわせて指摘した。

他方、主要な下振れリスクとして、ワクチン普及のスピードと既存ワクチンの有効性が、伝染性の高い変異株の伝播(でんぱ)の抑止とならないケースを挙げた。この場合、より厳格な封じ込め措置を再度導入する必要があり、(消費者と企業の)マインドと民間部門の支出が想定よりも弱くなり、2022年の世界のGDP伸び率は3%を下回ると試算した。

(朝倉啓介)

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