ドイツ化学大手BASF、中国CATLと蓄電池分野で戦略的提携
(ドイツ、中国)
ミュンヘン発
2021年09月28日
ドイツの化学大手BASFは9月16日、リチウムイオン電池大手の中国CATLと協力のための戦略的提携を発表した。両社はリチウムイオン電池用の正極材と蓄電池リサイクルで協力を進める。両社はこの提携で、(1)蓄電池の持続可能な価値連鎖(バリューチェーン)の構築、(2)CATLの欧州でのビジネス展開協力、(3)両社の気候中立目標達成への寄与を目指す。
CATLは2019年10月、ドイツ東部チューリンゲン州に中国外で初のリチウムイオン電池工場の建設を開始、2022年までに操業開始予定だ。建設開始時のプレス発表によると、同工場の生産能力は14ギガワット時で、2025年までに2,000人規模の雇用が創出される見込み。国際エネルギー機関(IEA)は2030年のバッテリー式電気自動車(BEV)用蓄電池需要について、欧州は世界全体の22~24%を占めると予測する。需要拡大が見込まれることに加え、重い蓄電池を対象地域から運ぶ高い輸送コストを避けるためにも、欧州で蓄電池工場の建設が進んでいる。
一方で、BASFはリチウムイオン電池の正極材に強い。同社は2020年2月、ドイツ東部ブランデンブルク州のシュバルツハイデにBEV電池用正極材の工場建設を発表、連邦政府と州政府から総額1億7,500万ユーロの助成を受けた(関連ブラック クイーン ブラック)。
BASFはCATLと提携することで、蓄電池に関する専門性と、市場での地位を高めることができる。一方、CATLはBASFと組むことで、欧州でのサービス能力向上、蓄電池リサイクルネットワーク・原材料調達網の構築などが期待できる。BASFのマルクス・カミース取締役は「正極材に強いBASFと、リチウムイオン電池の専門性を有するCATLの協力は、蓄電池分野のイノベーションと、持続可能な価値連鎖(バリューチェーン)構築を世界的に加速させるだろう」とコメントしている。
(高塚一)
(ドイツ、中国)
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